VRに対応したゲームがあったかと思えば、1980年代の作品をほうふつとさせる、素朴な2Dドット絵にこだわったアクションゲームもあったりと、バラエティに富んだ作品が楽しめるのが魅力のインディーズゲームコーナー。昨年に引き続き今年も本コーナーには、まる1日かけてもすべて遊びきれないほど、数多くのゲームが出展されていた。
以下、筆者がコーナー内をひととおり見て回ったうえで、とりわけ面白かった海外製の2タイトルをご覧いただこう。
『子之旅最後的旅程』
中国のゲーム開発グループ、Mog Gen Studio制作によるアドベンチャーゲーム。スタッフによると、プレーヤーはヒロインを操作して、マップ上に仕掛けられた謎を解き明かしていくゲームであるとのこと。特に驚かされたのは、ほぼ白黒の2色だけできめ細かく描かれた、まるで水墨画のような美しい背景だ。実は本作、本物の水墨画家が描いた絵をスキャンして作ったそうで、使用した絵の枚数はなんと5千枚、すべての絵を描き上げるまでに2年かかったというのだからすごい。
筆者もプレイさせていただいたが、まだ完成度が30パーセントのため謎解きの要素は一切入っておらず、画面の左から右に向かって歩きながら、ときどき小高い場所にジャンプしたり、ロープをつかんで崖を上り下りする程度のことしかできなかった。しかし、水墨画の背景や毛筆の文字が織りなす、思わず手を休めて見入ってしまうほどの美しいグラフィックスは一見の価値ありだ。2017年中に、Steamにて配信が予定されている。
ひと言で言えば「VRゲーセン」
『Pierhead Arcade』
こちらはイギリスのMechabit社が開発した作品。ひと言で言えば「VRゲーセン」で、プレイヤーはゲームセンター内に設置された、さまざなまアーケードゲームを遊ぶことができるというもの。本作に登場するのは、いわゆるビデオゲームではなく、日本の「もぐらたたき」に似たものや、ボールを得点が表示された盤面に向かって投げて遊ぶタイプのクラシカルなアーケードゲームで、PS Moveを使用して遊ぶ。
「もぐらたたき」型ゲームはPS Moveをハンマーに見立てて振るだけで、その他のゲームもボールを投げるなどの簡単な動作だけで遊べる。また、各ゲームを始める前には筐体(きょうたい)にコインを入れるアクションが必要となる。わざわざコインを投入する場面まで作り込んだところに、作者のゲームセンターに対する並々ならぬ愛情とこだわりが伝わってきた。
同社スタッフによると、PS VR版はまだ開発中とのことだったが、SteamとOculus Rift版はすでに配信されている。ゲームセンターの外観・内装こそ日本のそれとは異なるが、昭和時代にデパートの屋上ゲームコーナーで遊んだ経験がある人は、特に心がときめくのではないだろうか。
(文・写真/鴫原盛之)