かつてはパッケージのみしか提供されなかったゲームコンテンツだが、家庭用ゲーム機がインターネットに常時接続されるようになって以降は、デジタル配信やデジタル流通によるコンテンツ販売のボリュームが年を追って増加している。パッケージ流通からデジタル流通に変わったことで、ゲーム業界にはどんな変化が起こったのか。デジタル流通が当たり前になっているスマートフォンゲーム業界やパソコンゲーム業界の現状は参考になるのか。東京ゲームショウ2017のイベントステージで開催された「グローバル・ゲーム・ビジネス・サミット」では、家庭用ゲーム業界のグローバルなテーマともいえるデジタル流通について、5カ国5社の代表がそれぞれの地域の現状を紹介し合い、その問題や可能性を話し合った。

 各参加者について簡単に触れると、英国から参加したのは、Team17のビジネス・ディベロップ・マネージャー、マシュー・ベンソン氏。同社は、PS4やXboxなどの家庭用ゲーム機からパソコン、スマートフォンまでを対象にゲームを開発している。米国からはエピック・ゲームズ社の日本支社で代表を務める河崎高之氏が参加。同社はさまざまなゲームのエンジンとなる「Unreal」で知られるが、自社製品としてパソコンゲームも制作している。3人めのビクトル・キースリー氏は、キプロスに本社を置くウォーゲーミング社のCEO(最高経営責任者)だ。同社は家庭用ゲーム機やパソコン向けのオンラインゲームを提供しており、パソコン向けに関しては100%デジタル流通でビジネスを展開している。また、スマートフォン向けの「クラッシュ・ロワイヤル」で世界を席巻しているフィンランドのスーパーセル社からはファウンダーのミッコ・コディソヤ氏が、日本を代表するゲームメーカー、カプコンからは代表取締役社長 COOの辻本春弘氏が参加した。モデレーターは「日経デジタルマーケティング」副編集長の降旗淳平。また、デジタル流通によってゲーム業界のビジネスモデルにどんな変化が起きているのか、その調査レポートおよび全体のまとめ役としてSMBC日興証券の前田栄二氏も登場した。

 これら豪華メンバーによるパネルディスカッションは、「コストが下がる」「中古販売が減る」など、デジタル流通がもたらしたユーザー、ディベロッパーそれぞれへのメリット、デメリットが語られたほか、ゲームを売るだけでなく、近年話題のeスポーツのように“見せる”ことで稼ぐ可能性など、今後のゲームビジネスのトレンドが垣間見えるものに。前出の前田氏は、「ゲーム業界には他のエンターテインメント業界にはないインタラクティブ性がある。新しいデバイスの登場も期待でき、約3兆円といわれる家庭用ゲーム機の市場をデジタル流通がさらに広げていくだろう」と締めくくった。

5カ国5社の代表がゲームのデジタル流通について90分にわたって語り合った
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(文/堀井塚高、写真/志田彩香)