今年はVR普及元年といわれるだけあって、東京ゲームショウ2016はVRゴーグルを使ったVRコンテンツを至るところで見かける。そんななか、会場のホール3にある「エンターテインメントの未来」のブースでは、現在普及しつつある“視覚”のVRテクノロジーのさらに先にある、未来のエンターテインメントテクノロジーが展示されている。
ブースで注目しているのは、“触覚を媒介としたテクノロジー”だ。「視触覚クローン」と題した「Haptoclone」は、空中に投影しているように見えるディスプレーと、超音波による触覚を組み合わせた装置だ。
目の前にはアイコンやボタンが表示されているが、実はディスプレーの枠があるだけで何もない。しかしそこに指先で触れると、超音波を使った衝撃が伝わってくる。空中で指を泳がせているだけなのに、アイコンを操作したり、操作するときの手ごたえが得られる。
体験させてもらったが、実に不思議な体験だった。将来的には、医療現場で手を触れずに機器を操作するといった使い方が考えられるという。この展示は人気で、体験は数十分待ちの状態だった。
火が当たるとき、腕に振動が伝わる
「触覚提示技術のエンタテインメント応用」と題した展示では、光に反応して振動を起こす装置「HALUX」を腕に取り付けて、HTC Viveを使ったゲームが楽しめる。ゲームの内容はドラゴンが吹いてくる火を、ユーザーが腕で跳ね返すというもの。火が当たるときに腕にその振動が伝わってくる。また、鍵盤の重さ・反発をギターやビブラフォン風に変えられる「HapTONE」も体験できる。触覚を低コストかつリアルに体験できるようにするというのが狙いだ。
「HaptoMIRAGE」は、VRゴーグルを使わずに目の前に3D映像が浮かんでいるように見えるVRディスプレーだ。手前には回転するコントローラーがあり、それを使って3D映像を回せる。3つのVRディスプレーを組み合わせて、3方向から見られるようになっている。
人気の展示では整理券が必要
そのほかにも触覚、視覚を使った様々なアイデアを体験できる。展示によっては人気が高いため、整理券を発行しているところもある。特に、「Rez Infinite - Synsethesia Suit」「Parallel Eyes」「テレイグジスタンス」は人気が高かったので、体験したい人はお早目に。
(文/湯浅英夫=IT・家電ジャーナリスト、写真/中村宏)