デュアルカメラのトレンドにどう向き合うのか

 確かにXperia Xシリーズは、世代を重ねる中で機能・デザイン面の改善を進め、完成度を高めている。だが、同社が同じシリーズの中で改善を進めている間に、スマートフォン全体のトレンドが大きく変化しているのもまた事実だ。

 特に最近、スマートフォンの潮流となっているのが、2つのメインカメラを搭載した“デュアルカメラ”だ。2つのカメラによってボケ味のある写真が撮影できたり、2倍ズーム相当の望遠撮影ができたりするなど、各社がさまざまな特色を打ち出している。

 サムスン電子も8月に発表した「Galaxy Note8」でデュアルカメラを初搭載したほか、LGエレクトロニクスの「LG V30」や、モトローラ・モビリティの「Moto X(第4世代)」など、IFAに合わせて発表された他社のスマートフォンも、すべてデュアルカメラを大きな特徴の1つとして打ち出している。既にiPhoneも「iPhone 7 Plus」でデュアルカメラを採用しており、グローバル展開する主要メーカーの中でデュアルカメラ搭載スマートフォンを手掛けていない企業はもはやほとんど存在しない。今後シングルカメラであること自体、マーケティング的に見て「時代遅れ」と捉えられてしまう可能性が出てきているのだ。

Xperia XZ1/XZ1 Compactと同日に発表された、LGエレクトロニクスの「LG V30」。デュアルカメラの搭載が特徴の1つとなっている
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やはり同日に発表された、モトローラ・モビリティの新機種「Moto X」の第4世代モデルも、デュアルカメラを特徴として打ち出していた
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 ソニーモバイルはこれまで、イメージセンサーや一眼カメラの技術に強みを持つソニーのリソースを活用することで、シングルカメラでの性能を徹底して高めてきた。だが採用するイメージセンサーの性能が非常に高いがゆえに、同じセンサーを2つ使ってデュアルカメラを実現するとなると、コスト面などでマイナスの影響が出る可能性がある。デュアル化のトレンドによって、高いセンサー技術がかえってあだとなってしまっているようにも見える。

 この点について安達氏に聞いたところ、「他社の取り組みは把握しており、デュアルカメラによる体験に関しては社内でも議論をしているところだ」と答えており、ソニーモバイルでも何らかの検討はしているようだ。ただ、ソニーのイメージセンサーの技術が他社に対する大きな優位性になっていることも事実であり、Xperia XZ1/XZ1 Compactでは現在の路線を発展させることに力を入れたいとしている。

 ソニーモバイルのこだわりの強さがXperia XZ1/XZ1 Compactの高い完成度を実現した一方で、そのこだわりが市場のトレンドに合わせる柔軟性を失わせている印象は否めない。同社のこだわりを徹底して貫きつつユーザーに理解を求めていくのか、それともトレンドを取り入れて大きな変化を見せるのか。次のシリーズでどのような選択をするのかが、注目されることになりそうだ。

(文/佐野正弘)