ここ数年人気が高まっている格安SIM・格安スマホ。総務省が端末の実質0円販売を事実上禁止したことで、今年2016年前半は大きな盛り上がりを見せた。

 そこで格安SIM・格安スマホを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)の担当者が一堂に会した、MMD研究所主催のメディア向け勉強会での内容を軸として、改めて2016年前半の市場動向を振り返るとともに、今後の格安SIM・格安スマホの展望を探ってみたい。

20〜30代の利用が伸びた

 安価な月額料金でスマホが利用できる、「格安SIM」「格安スマホ」などの名称で知られるMVNOの通信サービス。人気に火がついてから2、3年が経過し、知名度も徐々に高まってきているが、2016年は特に人気が大きく高まっている。

 その理由は、総務省のICTサービス安心・安全研究会が昨年末に実施した「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の結果を受け、4月に「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を打ち出したことにある。このガイドラインを打ち出して以降、キャリアが高額な携帯電話端末を“実質0円”など大幅に値引いて販売することを総務省が厳しく取り締まるようになった。これまでの商習慣であった実質0円販売が、事実上禁止されたのだ。

 端末の実質0円販売禁止の影響を最も大きく受けたのは、大手キャリアのサービスを利用しているユーザーだ。基本料はあまり下がらない一方で、端末価格が突如大幅に値上がりしたことに不満を抱いたユーザーが、より安い価格でスマホを利用できるサービスを求めた結果、MVNOのサービスを利用する人が増加した。

 ここ最近の格安SIM・格安スマホの知名度の高まりに加え、総務省がもたらした実質0円禁止の影響が重なったことから、格安SIM・格安スマホやそれを提供するMVNOの人気が急拡大したのである。

 そしてMMD研究所の調査によると、ここ1年で格安SIM・格安スマホの利用者の傾向に大きな変化が起きているという。

 従来のMVNOの主要顧客は、ITリテラシーが高く、データ通信のみのプランをSIM単体で契約し、サブ回線として利用する40代前後の男性であった。

 だが昨年の春頃を境として、20〜30代の比較的若いユーザーを中心に、MVNOのサービスを主回線として契約する人がここ1年で急拡大。MVNOを主回線として利用している人の割合は、2015年4月時点では全体の2.1%であったのが、2016年4月には5.6%に倍増しているとのことだ。

 数字としてみれば大手キャリアよりまだ圧倒的に少ないが、ソフトバンクのサブブランドで安価な通信サービスを提供するワイモバイル(3.3%)も加えると8.9%と、1割に近い数値となる。

MMD研究所の調査ではメインで利用している通信会社のうち、MVNOが占める割合は、1年で2.1%から5.6%にまで拡大しているとのこと。ワイモバイルを含めれば1割近くに達する
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 2016年5月の調査では、MVNOのSIMカードを利用する端末の約8割はスマホが占めており、そのうち音声通話付きのプランを契約している人が約6割。さらにそのうち、番号ポータビリティ(MNP)でMVNOに転入した人の割合は65.1%だとしている。

 同社の調査はインターネット経由であることから、実際の市場実態よりやや高めの値が出ている可能性があるとのことだが、メーン回線としてMVNOを選ぶユーザーがここ最近大きく伸び、市場で一定の存在感を発揮しつつあることは確かなようだ。

MVNOのスマホ利用者のうち、音声通話付きプランの契約者は約6割。うち6割がMNPでの移行とのことで、メイン回線で利用するユーザーが急増していることが分かる
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