4Kテレビの販売が好調に推移しており、本格的な普及期に突入したといえる。ユーザーの選び方も以前とは変わりつつある
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 調査会社BCNが2016年7月14日に発表した販売動向調査で、家電エコポイントや地デジ化移行の終了以来、長らく沈んでいた液晶テレビの販売が急速に回復していることが分かった。特に、4Kブームとオリンピックの追い風を受けて4Kテレビが好調に売れており、全体に占める4Kテレビの割合は2割を突破。一時は、量販店の一等地をスマホに奪われて隅に追いやられていたテレビだが、スマホ需要の一巡を受けて再び「家電の王様」に復活しつつある。

4Kテレビ、憧れの大画面よりも40型台の小型モデルが人気

 液晶テレビは、地上デジタル放送への移行(2011年7月)や家電エコポイント(2009年5月~2011年3月)、デジアナ変換サービスの終了(2015年3月末)で一時的な特需が発生し、バカ売れした経緯がある。だが、それぞれで需要を先食いしたことで、その後は長く売れない時期が続いていた。

 だが、ここにきてようやく下降ムードを脱し、市場が活性化してきた。けん引しているのは4Kテレビだ。液晶テレビ全体の販売台数はいまだ前年を下回るものの、4Kテレビは対前年で7~8割増しの台数で売れている。現状、地上波の4K放送は開始のメドがまったく立っていないが、「テレビのアップコンバート機能でハイビジョン放送をよりきれいに見たい」というニーズで選ぶケースが多いという。もちろん、Netflixをはじめとする4K対応の動画配信サービスや4K対応ビデオカメラ、4K対応スマホ、4K対応家庭用ゲーム機での利用を見込んで4Kテレビを選ぶ動きもあるとみられる。

この春から液晶テレビの売り上げが伸びている。7月第1週の最新調査では、販売台数・販売金額ともに前年を上回ったという
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販売台数は前年割れが続いているものの、販売金額は上回っている。つまり、価格帯の高い4Kテレビが売れているということだ
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 従来とは異なる動きとして挙げられるのが、「4Kだけどコンパクト」という製品が人気を集めていることだ。これまでは「せっかく高価な4Kテレビを買うならば大画面でないと」という認識があり、55~60型超の大型モデルが売れていた。だが、BCNチーフエグゼクティブアナリストの道越一郎氏は「パネルサイズがそこまで大きくなくても4Kの高精細表示が満喫できることが広く知れ渡り、40型台の小型モデルが好まれるようになった」と分析する。直近では、パナソニックが2月に投入した43型モデル「VIERA TH-43DX750」や49型モデル「VIERA TH-49DX750」などの40型台モデルが人気を集めている。

パネルサイズでは、40型台の人気が急上昇している一方で、50型超の大型モデルは人気が下降している
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メーカー別シェアでは、シャープがトップを維持しているものの、パナソニックが急伸しているのが分かる
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パナソニックが2月に発売した4K対応のVIERAシリーズ。43型モデル「VIERA TH-43DX750」や49型モデル「VIERA TH-49DX750」を用意し、40型台でサイズを刻んだのが消費者に受け入れられた
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 4Kテレビが好調に売れていると聞くと、価格が安くなったのではないかと思いがちだが、実は価格はかなり安定している。4Kテレビの平均単価はなだらかな下落傾向となっているものの、2016年1月からの半年で実は9000円ほどしか下がっていない。「4Kテレビは、かつての液晶テレビのようにどんどん安くなることはない。今後も大幅な下落は期待できないとみられ、値下がりを期待して買い控えをするのは得策ではない」(道越氏)

4Kテレビの販売価格推移グラフ(折れ線グラフ)。緩やかに下降しているが、それでも半年で1万円も下がっていない。販売台数や販売金額のグラフ(棒グラフ)は、ずっと前年を上回る好調ぶりが続く
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 小型モデルが好まれる一方、70型を超える大型タイプの4Kテレビが以前よりも売れなくなっている。道越氏は「このクラスの大型モデルを購入する富裕層は、今後登場する8Kテレビに関心が移っているのではないか」と分析する。8Kテレビは、LGエレクトロニクスが98型モデルを2016年下半期に発売するとアナウンスしており、早くも買い控えが起こっていると考えられる。

4Kテレビのパネルサイズの割合。直近では40型台が急上昇しているのに対し、60型台や70型以上の大型モデルが下降している
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