現在主流の「IEEE802.11n」、今後主流になる「IEEE802.11ac」

 息子です。Wi-Fiルーター(Wi-Fiアクセスポイント)から離れた部屋や、古いiPhone 5を使った際に通信が大幅に遅くなった理由を知るために、まずWi-Fiの規格を説明したいと思います。

 ひとくちにWi-Fiといってもさまざまな規格が存在し、古い機器は性能が低いものもあります。主要なWi-Fi製品のパッケージを見ると、さまざまな数字が書かれているのが分かります。大きな数字は「1733+800」「867+300」「433+300」などと記載され、1733の左側には「4×4」、867の左側には「2×2」と表記されています。それ以外にも「11ac」「5GHz」「2.4GHz」などの記載がありますが、これらはどの製品でも同じ。ここに書かれていることの意味を知るのが、Wi-Fiを理解する第一歩といえます。

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3つのWi-Fi機器のパッケージに書かれたWi-Fiの規格値。さまざまな数字や記号の意味や違いをある程度理解しておく必要がある

 これらの数字が表す意味を理解するため、Wi-Fiの規格のおもな部分を以下の表にまとめました。Wi-Fiの規格は「IEEE802.11n」や「IEEE802.11ac」などがありますが、規格のお尻の部分だけを取って「11n」「11ac」とした表記や、最後の「n」「ac」だけ書かれている場合もあります。

▼Wi-Fiのおもな規格

規格 伝送速度 周波数帯 アンテナ数
ストリーム数
帯域幅
IEEE802.11a 54Mbps 5GHz 1ストリーム 20MHz
IEEE802.11b 11Mbps 2.4GHz 1ストリーム 22MHz
IEEE802.11g 54Mbps 2.4GHz 1ストリーム 20MHz
IEEE802.11n 72.2Mbps 2.4GHz/5GHz 1ストリーム 20MHz
144.4Mbps 2ストリーム
216.7Mbps 3ストリーム
288.9Mbps 4ストリーム
150Mbps 1ストリーム 40MHz
300Mbps 2ストリーム
450Mbps 3ストリーム
600Mbps 4ストリーム
IEEE802.11ac 433.3Mbps 5GHz 1ストリーム 80MHz
866.7Mbps 2ストリーム
1300Mbps 3ストリーム
1733Mbps 4ストリーム


 現在主流の規格がIEEE802.11n。ひと世代前のWi-Fiルーターやスマートフォン、タブレットが対応しており、父が以前使用していたiPhone 5も11nでした。11nの規格上の最大伝送速度は600Mbpsとなっています。

 IEEE802.11acは、2014年に正式に採用されたばかりの新しい規格で、今後は11nに代わって主流になるとみられています。現在販売されているWi-Fiルーターのほとんどが11ac対応で、iPhone 7も11acに対応。市販されているWi-Fiルーターの最大伝送速度は1733Mbpsが一般的ですが、規格上の最大伝送速度は6.93Gbpsとすごい数字になっています。

2.4GHz帯のWi-Fiは、周囲との電波干渉が避けづらくなってきた

 Wi-Fiに使用される周波数帯は、2.4GHz帯と5GHz帯の2種類が存在。2.4GHz帯は、壁などの障害物があっても電波が遠くまで届きやすいメリットがあります。自宅のWi-Fiの電波が家の隅々まで届くことはよいことですが、他人の家の電波も自宅の中まで入り込むので、電波干渉により伝送速度が低下しやすいのがデメリットです。

 自宅で2.4GHz帯のWi-Fiを確認してみると、周囲の家庭に設置されているWi-FiのSSIDが実に30以上も確認できました。住宅密集地でなくてもこの状況ですから、マンションが建ち並ぶ都心部に行けばかなりの大混雑になっていると思われます。電波が遠くまで届くという2.4GHz帯のメリットが、Wi-Fiの普及の影響で障害になっているのは何とも皮肉な話といえます。

スマホに表示された30以上のSSID。さまざまなメーカーのWi-Fi機器が使われていることが分かる
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2.4GHz帯のチャネルごとの電波の強さ。近隣からの電波の影響を受け、どのチャネルもかなり混雑している
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 さらに困ったことに、2.4GHz帯の電波は電子レンジやコードレス電話、Bluetooth、ワイヤレスマウスなどでも使用されていて、とかく電波の干渉が起こりがち。特に、電波が強い電子レンジは強敵といえます。

 5GHz帯は、2.4GHz帯と比較すると壁などの障害物に弱く、電波が遠くまで届かない傾向があります。ただ、2.4GHz帯と比べるとWi-Fi以外では使用されていない周波数帯なので電波干渉が少なく、快適に通信できるメリットがあります。近隣に設置されているWi-Fiの影響を受けづらいのもポイントです。

アンテナの数(ストリーム数)で最大通信速度が変わる

 次は、アンテナの数(ストリーム数)について説明します。Wi-Fiルーターのパッケージでは、内蔵しているアンテナが2本(2ストリーム)ならば2×2、アンテナが4本(4ストリーム)ならば4×4などと表記されます。11nと11acでは「MIMO」(マイモ:Multi Input Multi Output)という技術が採用されていて、複数のアンテナで同時に通信することが可能です。

 11acの場合、アンテナ1本(1ストリーム)あたりの伝送速度が433.3Mbpsなので、アンテナが2本のiPhone 7は最大866.7Mbps、父が使用しているMacBook Proはアンテナが3本なので最大1300Mbpsで通信できます。もちろん、アンテナが4本のWi-Fiルーターにアンテナが2本のスマートフォンをつないでも、使われるのは2本なので最大866.7Mbpsの通信となります。

MacOSでWi-Fiの通信状況を確認。802.11acで転送レートは1300Mbpsとなっています
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同じMacBook ProでBoot Campを使用してWindowsを起動。Wi-Fiの状態を確認すると速度は1.3Gbpsとなっています
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