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 サイバーエージェント(CA)とテレビ朝日が合同で運営する、スマホ向け動画配信サービス「Abema TV」が好調だ。2016年4月11日の本サービススタートから23日後の5月3日、アプリのダウンロード数は200万を超えた。CAの藤田晋社長もTwitterで「毎日8万件くらいのペースでダウンロードされている」とその好調ぶりをコメントしている。

 昨年2015年以降、日本での動画配信ビジネスは増加しているが、その主軸にあるのは「スマホ」だ。なぜスマホ上での動画ビジネスが加速しているか、その理由を解説していこう。

スマホに「マスメディアを作る」

 Abema TVをスタートする際、藤田社長は「スマホの中にマスメディアを作りたい」と語った。

 現在、真の「マスメディア」、つまり毎日数千万人が同じものを見るメディアといえば、地上波のテレビ放送くらいしかない。だが、テレビを除くと、圧倒的に多くの人が日常的に「見ている」機器はスマホやパソコンのディスプレー。特にスマホは、若年層において圧倒的な接触率を持つ。

 下図は、博報堂DYメディアパートナーズが2015年に行った「メディア定点調査」から、一週間に接触するメディアの分布を性別・年齢別に分析したものである。

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 これを見ると、30代以上はテレビが最も長い時間接触するメディアであるのに対し、10代・20代ではテレビがスマホに抜かれている。パソコンやタブレットも含めてみれば、「日本人が最も長く接触するメディアはすでにネットである」と言っていい。

「個室でのテレビ利用」が減った

 テレビが「第一のメディア」の座を奪われつつあるのは明らかなのだが、それはなにも、テレビというコンテンツが弱くなったから、という話ではない。いや、弱くなってはいるのだろうが、それでもテレビ的なコンテンツの魅力が失われているわけではない。

 それより10代・20代にとっては、家族とのだんらんの時間を除くと、「わざわざテレビの前に行く」のは面倒なことなのである。

 2011年の地上デジタル放送完全移行の後、家庭での「個室におけるテレビの利用率」は減った。内閣府が行っている消費動向調査によれば、各家庭でのテレビの平均所有台数は、2005年には「2.24台」だった。しかし2016年には、それが1.91台に減っている。

 電子情報技術産業協会(JEITA)の調査によると、2011年以降、テレビの販売数量は激減したものの、リビングで使われることの多い37型以上のテレビは特に2013年以降、販売数量が戻っている。特に最近は4Kテレビも増えてきており、販売金額も上昇傾向にある。だが、個室向けの29型以下のサイズについては数量が戻らず、2013年以降は大型よりも少ない。

 単価が安いものが高いものより売れない、というのはかなり深刻なことであり、それだけ個室向けのテレビ需要が減っている、ということだろう。