高知県須崎市、デル、インテルは2018年4月26日、ICT(情報通信技術)活用による地域活性化を目指して連携すると発表した。2社は、タブレット機能を備えたパソコン「2in1」やテレビ会議システムの提供などで須崎市を支援する。須崎市は、これらを活用して、2015年に策定した地域活性化計画「すさきがすきさ産業振興計画」の目標達成を目指すという。ここでは、その説明会の様子と、須崎市の地域活性化施策の実例をレポートする。

4つの取り組みでデルの2in1を活用する方針

 須崎市で同日に開催した記者説明会では、まず、須崎市長の楠瀬耕作氏が登壇。今回の連携を生かして、教育分野のICT活用などを進める考えを披露した。市では中学校1校、小学校1校をモデル校にして、活用を進めるという。

記者説明会の会場となった須崎市役所
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高知県須崎市長 楠瀬耕作氏
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 続いて須崎市元気創造課の有澤聡明係長が、市が進めているICTに関する取り組みについて説明した。その要旨は以下の通りだ。

 須崎市には、人口減や防災対策、財政難といった問題があり、その解決のために2015年3月に「すさきがすきさ産業振興計画」を立案した。デルとインテルとの連携による働き方改革により、2019年度の目標達成に向けて取り組みを加速する。その主な取り組みは、「2in1で情報発信力を強化」「海外と須崎をつなぐ2in1」「生産地・加工施設と消費者をつなぐ2in1」「2in1でゲストハウス運営と移住を支援」の4つである。

 情報発信力については、2in1を使うことで、須崎市のマスコットキャラクター「しんじょう君」の関連情報などを場所を選ばず効果的なタイミングで発信することが可能になる。しんじょう君は、「ゆるキャラグランプリ2016」で優勝しており、ファンも非常に多い。また、インバウンドの観光と海外販路拡大については、「Japan Expo 2017」に出展し、須崎アンバサダーを任命するなどの取り組みを行っている。2in1により、フランスのファンと須崎市民が交流したり、海外での取り組みを現地から中継したりすることでインバウンドを推進する。生産地・加工施設と消費者をつなぐことについては、2in1を使ってふるさと納税の商品・商材を生産者自らが撮影してSNSで発信するといったことが想定されている。生産者が自ら更新できる環境を整備することで、消費者に直接魅力やこだわりを伝えることができ、ふるさと納税額の増加を狙う。最後のゲストハウス運営や移住支援については、NPO法人の「暮らすさき」が、Skypeを利用して移住相談や空き家案内、ゲストハウス利用者への情報提供などを行っている。2in1を利用することで、Skpeのビデオチャットで、要望に応じてゲストハウスの細部を見せたりすることが可能になる。また、東京にファンコミュニティを作るなどの新しい取り組みも行っており、今後は2in1を活用して、都市と地方をつなぐイベントを開催していきたい。

高知県須崎市役所元気創造課 有澤聡明氏
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須崎市の概要。海に面しており、面積は135.4平方キロ、人口は2万2365人である
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須崎市には、人口減や防災対策、財政難といった問題があり、その解決のために「すさきがすきさ産業振興計画」を立案した
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すさきがすきさ産業振興計画は、2015年3月に策定され、12分野56項目についての5年間の取り組みとKPIを設定。すでに各分野で成果が出ている。デルとインテルとの連携による働き方改革により、2019年度の目標達成に向けて取り組みを加速する
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デル、インテルと連携する取り組みは、4つに大別される
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1つめは、「2in1で情報発信力を強化」であり、須崎市マスコットキャラクターの「しんじょう君」を活用した取り組みだ。2020年3月31日にtwitterフォロワー10万人達成をKPIとして設定している
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しんじょう君は、全国1412キャラクターが参加したゆるキャラグランプリ2016で優勝した人気ゆるキャラである
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説明会にもしんじょう君が登場し、愛嬌を振りまいていた
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しんじょう君の人気はすごく、正月には全国から5000枚も年賀状が届き、誕生日には200個くらいプレゼントが届くそうだ。また地元で開催したイベントには人口の3倍の9万5000人の参加者を集めた
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2in1の活用により、全国のイベント会場や移動中でもSNSやBlogなどの編集・公開が可能になる。twitterフォロワー10万、Facebookのいいね!が1万7000、Blogの年間250万PVを2020年3月31日までのKPIとして設定した
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しんじょう君が2in1を使って、SNSやBlogの記事をアップしているイメージ
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2つめが、「海外と須崎をつなぐ2in1」であり、インバウンドの観光と海外販路拡大である。「Japan Expo 2017」へ出展し、須崎アンバサダーを任命するなどの取り組みを行っている。2020年3月31日には須崎アンバサダーを3カ国10人以上にすること、2027年3月31日にはインバウンド観光客2万人達成をKPIとして設定している
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須崎市は、2017年にフランスで開催された「Japan Expo 2017」に出展した。須崎産品やしんじょう君が大人気だったという
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須崎市では、海外の人に須崎を体験してもらうために須崎アンバサダーを任命し、ツアーを行っている
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2in1を活用して、フランスのファンと須崎市民が交流したり、海外での取り組みを現地から中継したりすることで、インバウンドを推進する
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須崎アンバサダーが体験した須崎市についてのコメント
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3つめが、「生産地・加工施設と消費者をつなぐ2in1」であり、ふるさと納税の商品・商材を撮影してSNSで発信するといったことを想定している。ふるさと納税額20億円を2020年3月31日のKPIとして設定している
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ふるさと納税額は、2014年度は200万円程度であったが、しんじょう君の情報発信力によって2015年度には、前年比約300倍となる約6億円を達成した
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現在、ふるさと納税の商品ページは、市役所の担当が作成している。生産者が自ら更新できる環境を整備することで、消費者に直接魅力やこだわりを伝えることができる
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4つめが、「2in1でゲストハウス運営と移住を支援」である。NPO法人の「暮らすさき」が、Skypeを利用して移住相談や空き家案内、ゲストハウス利用者への情報提供などを行っている。移住者数20家族40人、相談受付160件を2020年3月31日のKPIとして設定している
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須崎市のこれまでの取り組みの成果。短期滞在施設への訪問者や移住者数は年々増えている
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東京にファンコミュニティを作るなどの新しい取り組みも行っており、今後は2in1を活用して、都市と地方をつなぐイベントを開催していく
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須崎市は、デルやインテルの支援を受けて、プレイヤーとなる住民が自己実現をしながら地域を作ることを目指している
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