かつては大手キャリア向けにWi-Fiルーターなどを提供していることで知られたファーウェイだが、最近では自社オリジナルのスマートフォンで、SIMフリースマホ市場を積極的に開拓している。これまでの取り組みを振り返りながら、日本におけるファーウェイのSIMフリースマートフォン戦略を確認してみよう。

2014年からSIMフリースマホを続々投入

 ファーウェイは元々携帯電話のインフラ整備に必要な通信機器を開発するベンダーとして1987年に設立したが、現在はスマートフォンなどの端末も手掛けるメーカーとしても知られるようになった。昨年には世界市場でサムスン電子やアップルに次ぐ世界第3位のシェアを獲得するなど、世界的には大手端末メーカーの一角に名を連ねるにまで成長している。

 日本ではイー・モバイル(後にソフトバンクと合併、現在のワイモバイルブランドの前身)などに向けて通信機器を販売していたほか、「Pocket Wi-Fi」シリーズに代表されるWi-Fiルーターや、フォトフレーム端末など、主に携帯電話以外の端末を、長年大手キャリア向けに提供してきた。一方でスマートフォンに関しては、イー・モバイル(ワイモバイル)向け以外に実績が少なく、苦戦していた。

 そうした経緯もあったのか、ファーウェイはスマートフォンの販売戦略で、SIMフリー市場向けに大きく舵を切る。「格安スマホ」の人気を受けて、MVNOが台頭してきたことも背景にあるだろう。同社が最初に投入したSIMフリースマートフォンは2014年6月発売のLTE対応スマートフォン「Ascend G6」だが、同年9月には薄さとカメラ機能に力を入れた「Ascend P7」も発売するなど、積極的に製品投入を進めた。

ファーウェイが日本のSIMフリー市場向けに本格投入した「Ascend G6」。当時はSIMフリーの端末数が非常に少なかっただけに、MVNO利用者にとって貴重な存在でもあった
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 当時は格安スマホが注目されたばかりで、まだSIMフリースマートフォンの数自体が非常に少なく、MVNOのSIMを利用するにしても肝心の端末がないという状況であった。それだけに、ファーウェイが次々と新製品を投入したことは、MVNOに大きな恩恵をもたらしたことは確かだ。

 さらにファーウェイは、2014年12月にハイエンドモデルの「Ascend Mate 7」、そしてミドルクラスの「Ascend G620S」を発売。中でもAscend Mate 7は、6インチディスプレーにオクタコアのチップセット、1300万画素のカメラ、指紋認証センサーなどを備え、さらに最大300Mbpsの通信速度に対応するなど、当時としては非常に高い性能を備えながら、価格は4万9800円と、5万円を切る価格を実現。コストパフォーマンスの高さで注目を集めた。

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2014年12月に投入された「Ascend Mate 7」。6インチのハイエンドモデルながら、5万円を切る価格を実現したことで話題となった

 翌2015年の6月には、ネット通販限定の「honor」ブランドを冠したスマートフォン「honor6 Plus」を投入。2つの800万画素カメラを備えるデュアルカメラ機構を採用し、撮影後にボケ味が調整できるなど特徴的なカメラ機能を備えながら、4万5800円とこれも比較的安価。MVNOの1つである楽天モバイルが独占販売したことでも話題となった。

楽天モバイルが独占的に取り扱っている「honor6 Plus」。2つのカメラを搭載したデュアルカメラ機構により、高度な撮影が簡単に楽しめるのが特徴だ
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