この記事は「日経xTECH」の同名の記事(2013年10月25日公開)を転載したものです。内容は基本的に日経xTECHでの公開時点のものとなります。

30年以上一貫してプログラミング教育に携わり、レゴ マインドストーム・ロボットキットやプログラミング環境Scratch(スクラッチ)など、革新的なプロジェクトを共同で成し遂げてきたのが米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ教授 ミッチェル・レズニック氏だ。同氏がこのたび執筆した『ライフロング・キンダーガーテン 創造的思考力を育む4つの原則』は、Scratchを開発した真の目的、活用実践のあり方を具体的に論じた人生100年時代の新しい教育論である。
 いよいよプログラミング教育が小学校でも必修化されようとしている今、その目的とあり方についての学びのヒントとなるべく、これまでレズニック教授らにインタビューしてきた内容をここに振り返ってみよう。

 
Mitchel Resnick:米マサチューセッツ工科大学 メディアラボにて、コンピューターを用いた教育ツールの研究開発に取り組む。「レゴ マインドストーム」の原型となった「Programmable Bricks」や、「Scratch」などを生み出す。低所得地域の若者などに学習環境を提供するプロジェクト「Computer Clubhouse」の共同創始者でもある。(撮影:都築 雅人)
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 「自分の考えを他人に発信するには、文字を“読める”だけでなく“書ける”必要がある。プログラミングもそれと同じ」──プログラミング教育の世界的な第一人者であるミッチェル・レズニック氏は、プログラミングを自己表現のためのツールと位置付ける。生まれたときから高性能ゲーム機などのデジタル機器に囲まれ、“デジタルネイティブ”とも呼ばれる今の子どもたちだが、「ゲーム機では、ただ遊ぶことしかできない。アニメーションや音楽を使って、自ら“創る”体験をさせたい」。

 こうした思いから作ったのが、主に8歳以上を対象にしたプログラミング環境「Scratch」。「ブロック」と呼ばれるアイコンを組み合わせて手軽にプログラムが作れるのが特徴だ。日本を含め、世界中で高い人気を集める。専用のコミュニティサイトで、ユーザー同士の交流も活発に行われている。

Scratchでプログラミングをしているところ。画面右に並んでいるのが、動きや条件などを示す「ブロック」。これを組み合わせることで、画面左のネコのキャラクターを動かす
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世界中のユーザーが、300万を超える作品(プログラム)をネット上のコミュニティサイトで公開(2013年10月時点。今では3000万を超える)。コメントのやり取りなどを通じて交流している
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