現在まで1カ月当たりのLINE経由の相談件数は電話相談の10%弱、保険の見積もり依頼の件数はWebサイトの1%強。岩瀬社長は「まだ初歩の段階。粘り強く改善する」と話す。手軽に相談できるLINEを入り口として、「そもそも保険加入を考えていない潜在層に対して、保険契約の機会や間口を広げたい」(森根氏)。

 潜在層に保険の興味関心を持ってもらう情報発信にも取り組む。保険契約の基礎知識や年代別の保険契約の動向、厄年に関する豆知識など、「保険へのニーズを徐々に顕在化させる情報」(向井純太郎営業本部お申し込みサポート部長)を配信する。LINE経由で得た利用者の属性データや対話履歴のデータを分析して、配信情報の編集や選択にも役立てる考えだ。

セキュリティや法対応にハードル

 保険手続きの全面LINE対応は“フェーズ3”。これまで非保険契約者を対象にしていたサービス内容を、既契約者にも広げる。当面のLINE活用の総仕上げに当たる段階だ。

 同社はセキュリティ面や法制度面など、多くのハードルがあるとみる。一例が、入力した個人情報を一時的に保存する場所だ。

 LINE上で入力した場合、一時的にせよ個人情報は運営会社であるLINEのデータセンターを経由することになる。「既存の法制度の範囲で実現可能かどうか。前例がないだけに、慎重に検討する必要がある」(向井部長)。携帯端末のセキュリティ設定が利用者によって異なるため、端末の盗難や紛失時の対応や責務も要検討事項だ。

 保険外交員を使わないネット直販を掲げて2008年に創業したライフネット生命。減少基調だった新規契約件数が増加傾向に転じるが、2017年3月期の経常損益は3億円の赤字を予想するなど、業績面は楽観できない。

 こうしたなか、2017年6月には創業者の出口治明会長が退任する。「インターネットを活用した生命保険の可能性は大きい」と語る岩瀬社長。「保険と生活者の距離を縮める」道を、スマホとLINEで切り開く考えだ。

(文/玉置 亮太=日経コンピュータ)