この記事は「日経xTECH」の同名の記事(2013年9月24日公開)を転載したものです。内容は基本的に日経xTECHでの公開時点のものとなります。

30年以上一貫してプログラミング教育に携わり、レゴ マインドストーム・ロボットキットやプログラミング環境Scratch(スクラッチ)など、革新的なプロジェクトを共同で成し遂げてきたのが米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ教授 ミッチェル・レズニック氏だ。同氏がこのたび執筆した『ライフロング・キンダーガーテン 創造的思考力を育む4つの原則』は、Scratchを開発した真の目的、活用実践のあり方を具体的に論じた人生100年時代の新しい教育論である。
 いよいよプログラミング教育が小学校でも必修化されようとしている今、その目的とあり方についての学びのヒントとなるべく、これまでレズニック教授らにインタビューしてきた内容をここに振り返ってみよう。

 

 ビジュアルプログラミング言語「Scratch」の開発者である米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ教授 ミッチェル・レズニック氏。イベント「子どもたちにプログラミングを教えよう! ICTとイノベーションを支えるプログラミング教育」(主催:NPO法人 CANVAS/日経BP社、関連記事=「プログラミング教育は子どもの創造性を高める」)のために来日した同氏と、同イベントに登壇した書籍『小学生からはじめるわくわくプログラミング』の著者である青山学院大学 非常勤講師(インタビュー時。現在は客員教授)阿部和広氏に、プログラミング教育のあり方について聞いた。

ミッチェル・レズニック氏
写真:都筑雅人

――なぜコンピュータ教育をテーマに研究を続けてこられたのですか。

レズニック氏:私が目指しているのは、若い人たちがクリエイティブに考える人になることです。そのために、コンピュータを使ってものを作る体験をすることが重要だと考えています。

 レゴ マインドストームは、若い人たちが作って表現する、そのためのメディアとして作られました。

 Scratchで重視したのは、若い人たちに興味を持ってもらうことです。若い人たちは、体を動かして遊ぶことに興味を持っています。Scratchでは実際に体を動かして作ることを重視しています。

――単に使うだけでなく、作る側としてコンピュータに関わることを重視してこられました。

レズニック氏:若い人たちに、社会に貢献できる人材になってほしいからです。社会に貢献するためには、自らの声を持たないといけない。そのためには作って表現できなければならない。

 文章に例えて言えば、読むだけでなく書けなければならない。文章を書くことができれば自分の考えを発表できます。

 プログラムも同じです。プログラムが書ければ、自分のアイデアを形にして発信することができます。

――Scratch 2.0では、Webブラウザー上で動作するようになりました。

レズニック氏:最もよい学びの体験は、他の人と関わり、新しいアイデアを他の人とシェアすることです。また他の人に使ってもらってフィードバックをもらい、改良を加えていくこともできるようになります。ソーシャルな学びは重要な意味を持っています。

 またScratch 2.0には、クラウド変数という機能があります。他のプロジェクトとデータを共有したり、調査やハイスコアの共有に使ったりすることができます。

Scratch 2.0
Webブラウザー上でプログラムを作成、実行できる
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