問題が起きても、子供たちが自分で解決する

阿部和広氏
写真:都筑雅人

――日本での状況は。

阿部氏:日本語への対応は比較的早い段階でできていました。またScratchの公式サイトには日本語のフォーラムも作られています。

 ある日本の子供が作ったプログラムが、Scratch公式サイトの注目のプロジェクトに選ばれたことがありました。彼は当時小学校5年生だったと思うんですが、がんばって英語で説明を書いたんです。

 ただ、いかんせん小学校5年生の英語ですから、「おまえの英語はひどい」みたいなコメントがつくんですね。でも、ある子供が「彼は日本人だから英語がわからないのは当たり前。私たちが直してあげればいいんじゃない」と書き込んで、みんながどんどん正しい英語に直していったんです。

 コミュニティにはなるべく大人が介入せず、子供たちが自分たちで解決するようにしています。

 東日本大震災の時に、海外でも大きく報道されたので、Scratchのサイトにもたくさんのコメントが寄せられました。ほとんどは「日本頑張れ!」といった励ましのコメントだったのですが、中には誤った情報、つまり「日本には放射能が充満している」といった誤った情報に基づいた書き込みもありました。そのような場合でも、大人は正しい情報のソースを提供する程度にとどめて、子供たちが自分たちで気づくのを待つようにしました。

―― 大人はどのような役割を果たすべきでしょうか。

レズニック氏:コミュニティに大人がいるのはよいことです。大人は子供が学ぶことができる経験を持っています。

 ただ、私は大人と子供というふうに分けて考えたくはありません。様々な年齢の人がいるのだと捉え、お互いに学ぶべきだと考えています。大人は子供から学ぶことができるし、子供も大人から学ぶことができます。

―― 大人がScratchを学ぶ意味はありますか。

レズニック氏:大人の興味は、プログラミングを学ぶことによって新しい仕事を得ることです。それはいいことですが、それだけが理由である必要はありません。インタラクティブなカードを交換したい、それが動機であってもいい。Scratchは、人々が自分の考えを表現し共有するために優れていると思っています。

―― 日本では「子供は外で遊べ」とか、子供がデジタルに接することに眉をひそめる大人が多くいます。

レズニック氏:外で遊んでも、ケンカをしていてはよいことではありません。デジタルでも、仲間と協調してプロジェクトを進めることはできます。実際に遊ぶのでも、デジタルでも、よい活動もあり悪い活動もあります。重要なことはテクノロジーをどう使うかです。