前回「8KのVRから東大のネコ耳まで 有力企業の注目デモ【SXSW2017】」に続いて日本企業の展示、今回はスタートアップを中心に紹介しよう。

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アウトドアでの仲間同士の会話を助ける

 2014年にスノーボーダーで起業家の宮坂貴大氏が設立したBONX INC.。宮坂氏のアイデアを具現化したBluetoothイヤホン「BONX Grip」は、スノボやサイクリング、釣りなどで少し離れた場所にいる仲間との会話を簡単に楽しめるデバイス。一般的なワイヤレスイヤホンとして使えるほか、利用者が話を始めるとBONX Gripが自動的にスマホ内のアプリに音声を送り、アプリがそれを携帯電話の回線を使って仲間に届ける(最大10人まで)。会話だけに正確に反応するように機械学習などを取り入れて、チューニングしたという。また、ノイズキャンセル機能を搭載し、激しい向かい風などで発生する風切音を気にすることなく会話ができる。

アウトドアなどを仲間と楽しむためのイヤホンBONX Grip。話すだけで仲間と通話が開始できる。すでに国内で発売しており、価格は1万5800円(税込み)
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 レーザ網膜走査型のメガネ型端末「レーザアイウェア」を展示したのが富士通からのスピンオフベンチャーQDレーザ。レーザアイウェアは、人の網膜に直接映像を投影する超小型プロジェクターを組み込んだメガネ型端末で、液晶などに表示した映像を見る一般的なメガネ型端末と比べて高画質を実現できるという。加えて、近眼、老眼など利用者の視力に依存することなくクリアな映像を表示可能。現在は視覚機能を支援する医療機器として開発を進めているという。実際に試してみたが、違和感なく装着できるサイズと重さになっており、映像もクリアに視認できた。

一般的なメガネとほぼ同じサイズを実現しているレーザアイウェア。向かって右側の目の部分に超小型プロジェクターを装備しており、網膜に直接投影する
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 医療関連ではHoloEyesがVR(仮想現実)/AR(拡張現実)を活用した展示を行っていた。CTスキャンの映像をベースに人体内部を3DのVR映像に変換し、自在に大きさや角度などを変えながら視聴できる。複数人で映像を共有することが可能なので、例えば手術前の術式の確認や学生への教育などに有効という。またARの技術を使えば、手術室など実際の風景と重ねて表示できるので、より手術の本番に近い環境での確認が可能になる。ブースで実際にVRゴーグルを装着してみたところ、目の前に人体内部が3D表示された。映像も非常に滑らかに動き、「ここが腎臓」などと説明を受けたが、臓器の位置などがとても分かりやすいと感じた。

画面は実際のVR映像の様子。血管や臓器などが表示されているのが分かる
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 ユニークな“紙”を展示していたのが岐阜県大垣市が本拠地のGOCCO。独自に開発した導電インクを使った印刷物をスマホやタブレットの画面に触れさせると、あらかじめ設定しておいた動画などのコンテンツを呼び出せる。すでに雑誌の付録や教育玩具などの実績があり、工夫次第でさまざまな応用ができそうな技術だ。

スマホの画面に特殊なインクで印刷した紙を触れさせると動画の再生が始まる
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 Cuelebre(クエレブレ)は、ドローンとホームアシスタントを組み合わせた「fairy720°」を展示。アマゾンエコーなどの音声認識を活用したホームアシスタントは、手軽にネット通販が利用できたり、家電がコントロールできたりと、現在注目されているデバイス。このホームアシスタントにドローンのような移動機能を追加することで、自分に寄り添う妖精(=fairy)のようにホームアシスタントを使えるようにするのがfairy720°のコンセプトだ。現在は音がしないように天井からの糸でホームアシスタントを浮かべている。ほほを軽くノックして起こしてくれたり、耳元でお話をしてくれたりといった機能も実装しているという。

糸でホームアシスタントを浮かべ、利用者に寄り添うように移動する。糸を伝って移動するので音が発生しないため、映像制作の関係者からも注目されたという
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 “ラジオ局が本気で作るラジオ”として、ニッポン放送のアナウンサー吉田尚記氏が開発プロジェクトを推進してきたラジオ「Hint(ヒント)」。クラウドファンディングで資金集めに成功し、2017年春には一般販売を開始する予定という。SXSWでは、ラジオ局がDTMF音(電話のダイヤル音)を発信すると、スマホのアプリにURLを表示するといった機能をアピールしていた。

ラジオとしてだけでなくBluetoothスピーカーとしても使えるHint。ニッポン放送、Cerevo、グッドスマイルカンパニーが共同で開発した
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