MVNO大手のインターネットイニシアティブ(IIJ)が3月15日、“フルMVNO”としてサービスを開始することを発表した。これにより同社は、自社の加入者管理システムを保有し、SIMカードを独自に発行できるようになる。当初は法人向けと訪日外国人向けサービスのみの提供となるが、個人向けサービスも予定されているようだ。IIJのフルMVNO化によって、個人消費者はどのようなサービス展開を期待できるだろうか。

IIJがフルMVNOを目指した理由

 最近はMVNO(仮想移動体通信事業者)の苦戦が伝えられているが、その大きな要因は大手キャリア(通信事業者)の値下げ攻勢だ。また、9割以上のMVNOがNTTドコモからネットワーク回線やSIMカードを貸与されてサービスを提供しているため、MVNO間で差異化を図りにくいことも伸び悩みの要因として挙げられる。その解決策の1つといわれているのがフルMVNO化だ。

 フルMVNOでは、大手キャリアが保有している「HLR(Home Location Register)」や「HSS(Home Subscriber Server)」といった加入者を管理するための設備を、MVNO側が独自に持つ。つまり、基地局以外の設備をほぼMVNO側が保有することになり、提供できるサービスの自由度が大幅に高まるのだ。

フルMVNOとなったことで、IIJは独自のSIMカードを発行できるようになり、提供できるサービスの自由度が大幅に高まる。写真は3月15日のIIJ・フルMVNO 新サービス説明会より
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IIJのSIMを挿入したスマートフォン。画面左上のピクト表示が「IIJ」になっているのが分かる。写真は3月15日のIIJ・フルMVNO 新サービス説明会より
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 だが、フルMVNOになるためには相応の額の投資も必要となる。そのため規模が小さく多額の投資が難しいMVNOはフルMVNO化に二の足を踏んでおり、現在も積極的に取り組んでいるMVNOはごく一部に限られている状況だ。

 そうした中で、フルMVNO化に最も積極的に取り組んできたのが、インターネットサービスプロバイダーとしてだけでなく、今やMVNOでも大手となったIIJである。実際、同社は2016年8月にNTTドコモと加入者管理機能の連携を申し入れて承諾されており(関連記事:日本初の「フルMVNO」誕生で、格安SIMは変わるのか)、フルMVNOとしてのサービス提供を2017年度下期に開始すると発表していた。