カーツワイル氏が描くスーパーヒロイン、ダニエル

 カーツワイル氏は現在、小説『Danielle: Chronicles of a Superheroine(ダニエル:スーパーヒロイン物語)』を執筆中だ。発売時期は今年の夏以降だが、詳細は未定。物語は一人の女の子がその知性と勇気を使って、世界の問題と向き合い解決していこうとする話だそうだ。イントロダクションを読んだだけでも、前向きに今後の世界を考えられそうな内容である。

 SXSWでも近年、ストーリーテリングの影響力について議論されることが多い。想像力をフルに使って紡ぎ出されたフィクション、または真実を伝えようとするドキュメンタリーなど、お話の形をした情報は単なる事象の羅列よりも、人の心に残りやすく影響をおよぼしやすい。

 小説は、シンギュラリティという言葉が独り歩きしてしまっているように思える今、カーツワイル氏が楽観的に前向きに描く未来像を、どんな世代にも分かりやすく、たくさんの人に共感してもらうための、新しい挑戦の一つなのかもしれない。

イラストを手がけるのはカーツワイル氏の娘、エイミー・カーツワイル氏。SXSW2017では2人で登壇した

 最後に、会場からカーツワイル氏に以下のような質問があった。

 「What will futurists do after the singularity?(シンギュラリティが起きた後、フューチャリストは何をするんですか?)」

 答えは、「シンギュラリティが起きた後も未来は続くよ」

 2045年は人類にとって象徴的な出来事が起こるかもしれない。しかし、それは始まりに過ぎず、その後の世界がどうなっていくのか、どういう世界にしていきたいのか、未来像を具体的に描けるフューチャリストが、私たちには必要だと感じた講演だった。

(文/未来予報株式会社