今年2月にオンキヨーブランドで発売された「GRANBEAT DP-CMX1」は、8万円クラスの高音質デジタルオーディオプレーヤー(DAP)と、5万円クラスの高性能SIMフリースマートフォンが一つになった製品。オーディオマニアやディープな音楽ファン注目の一品だ。前編となるこの記事では、オンキヨーがGRANBEAT DP-CMX1を出す狙いや従来のハイレゾスマホと異なるポイントを解説。後編では、デジタルオーディオプレーヤー、スマホの両面から、GRANBEAT DP-CMX1の実力をレビューする。

 「オーディオマニアが語りたくなるスマホ」となると、世界を見渡してもこの製品しかないだろう。音響機器メーカーのオンキヨー&パイオニアイノベーションズから発売された高音質を追求したSIMフリースマートフォン「GRANBEAT DP-CMX1」だ。オンキヨーブランドでの発売で、実売価格は9万円前後となる。この製品を端的に説明すると、8万円クラスの高音質デジタルオーディオプレーヤー(DAP)と、5万円クラスの高性能SIMフリースマホが一つになった製品だ。両方の価値が分かる人にとっては魅力的な高音質オーディオスマホとなっている。

「GRANBEAT DP-CMX1」は今年2月に発売された。オーディオとスマホの特徴が入り交じったデザインが個性的
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 外観を少し見るだけでも、この製品がオーディオ機器の価値観とルールによって作られた製品ということを感じられるだろう。実際に触ると、スマホではありえない重厚なメタルボディーに2つの異なる形状のヘッドホン端子を搭載。片方は最近ポータブルオーディオで流行のバランス駆動に対応した端子だ。オーディオ好きとしては音質面の実力に期待が高まる。

写真左側のバランス出力端子と、それを支えるツインDACとツインアンプだ。GRANBEATには、オーディオ世界のハイエンド機能とスマホの最新機能が同居している
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 スマホとしての仕様も充実しており、最近流行のDSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)や、高性能かつコストパフォーマンスの高いCPU・GPUのSnapdragon 650を搭載するなど注目点が多い。

オンキヨーが高音質スマホを出す理由

 今オンキヨーが高音質スマホを出す理由は大きく2つある。

 一つは、オンキヨーがハイレゾ音源の大手配信サイト「e-onkyo music」の運営と、20年ほど前からPCを中心としたデジタルオーディオ機器に力を入れてきた企業という点だ。だが、現代のデジタルオーディオの主役はスマートフォンとなっており、PCや高音質DAPでのハイレゾ楽曲再生は一般の認知度が低い。そんななか、スマホ1台で高音質な音楽再生と、ハイレゾ楽曲を気軽に購入できる製品を投入する意義は大きい。

 もう一つは、フィギュアスケートの羽生結弦選手なども愛用する、高音質DAPや高音質イヤホンブームの競争環境だ。スマホが音楽再生機器の主役になってから、iPodなどのポータブルオーディオ市場ではソニーやAstell&Kern、FiiOなどの高価格帯・高音質DAPに人気が集まっている。オンキヨーの「DP-X1A」も8万円台でバランス駆動やAndroid採用と高コスパで人気だ。だが、将来にわたって競争を続けるには高音質以外の強みも必要となる。その点、外出先でも通信を利用できるスマホ機能の搭載はかなり魅力的だ。

高音質DAPや高音質イヤホン人気をうけ、専門店や大手量販店が主催する試聴イベントの数も増えてきた
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オンキヨーの高音質DAP「DP-X1A」。8万円前後で高音質とバランス対応やAndroidにも対応した高コストパフォーマンス製品として、10万円以内のDAPとしては今も売れ筋だ
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 ただ、最近ではソニーの「Xperia XZ」などAndroidスマホの多くが、AACやmp3音源に加えて、ハイレゾのFLAC音源の再生にも対応し始めている。GRANBEATはそれらのハイレゾ対応スマホと何が違うのだろうか。