今のパソコンのほとんどは無線LAN(Wi-Fi)を搭載している。また、無線LANはスマホやタブレットでも利用でき、携帯電話回線のかわりに無線LANを使えばパケット通信量を節約できる。自宅で無線LANを使うには、家庭内ネットワークに無線LANルーターを導入するだけでいい。

 しかし、無線LANルーターを買うために家電量販店に行くと、家庭向けとして売られている製品の種類が多く、どれがよいのかが分かりづらい。そこで、無線LANルーターの選び方と、16年の代表的なルーターを紹介していこう。

ルーター選びの5つのポイント

 無線LANルーターは「通信規格」「最高速度」「有線LANの速度」「付加機能」「形状」の5つのポイントを事前に確認しておくと選びやすい。

 無線LANの通信規格は、IEEE 802.11から始まり、同11a(最大54Mbps)、同11b(最大11Mbps)、同11g(最大54Mbps)、同11n(最大150Mbps)、同11ac(最大433.3Mbps)と、技術の進化と共に規格が置き替えられていった。現在主流の規格は、IEEE 802.11acだ。最新の無線LAN規格ほど、通信速度は速い。

 ここ1〜2年で発売されたパソコンやスマホ、タブレットの多くはIEEE 802.11acに対応している。これから無線LANルーターを買うならIEEE 802.11acのルーターがいいだろう。11ac以前に広く使われていたIEEE 802.11nの機器も、低価格帯の無線LANルーターとしていまだに多く売られているが、11acよりも速度が遅くなってしまう。

 11acや11nのルーターは、複数のアンテナで同時通信し、データの合成や復号を行う無線LAN技術の「MIMO(Multi-Input Multi-Output)」を採用している。11n以前に使われていた11gや11bでは、1つのアンテナで1つのデータを送受信するのに対して、MIMOは複数のアンテナを使い複数のデータを同時に送受信できる。そのため、無線LANルーターに搭載するアンテナの本数によって、製品の最高速度が決まる。

11acなら最高867Mbpsの製品を選びたい

 いま売られている無線LANルーターの場合、アンテナ1本の製品の最高速度は、11acが433.3Mbps、11nは150Mbps。アンテナ2本の製品は11acが867Mbps、11nは300Mbps。アンテナ3本の製品は、11acが1300Mbps、11nは450Mbpsとなる。

 11acの上位無線LANルーターにはアンテナを4本搭載する製品もあり、最高速度は1.733Gbpsとなる。ただし、この速度で通信するには、パソコンやスマホ、タブレットも同等のアンテナ数が必要。現在売られているパソコンはアンテナを1〜3本、スマホやタブレットは1〜2本を搭載するため、11acの無線LANルーターを買うなら最低でも最高速度が867Mbps、11nなら300Mbpsの製品を選びたい。

無線LANルーターのパッケージには規格と最大速度が記載されている
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外部アンテナを搭載する製品は、アンテナの本数で速度がわかる。アンテナが多いほど通信速度は速い
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 無線LANルーターは、有線のLAN端子にも注目したい。最近はGB(ギガ・バイト)に対応したインターネット回線が増えているが、高速イーサネット規格であるGigabit Ethernet対応の有線端子でないとそれを生かすことができない。現在売られている無線LANルーターの上位機種のほとんどはGigabit Ethernet(最大1000Mbps)に対応している。しかし、中位機種から低価格帯の一部製品の中には、有線LAN端子の速度がGigabit Ethernetの10分の1しかでない、100BASE-TXの無線LANルーターもある。

 製品によってはインターネット側(WAN側)のLAN端子だけGigabit Ethernetに対応しているか、家庭内側(LAN側)のLAN端子だけGigabit Ethernetに対応する製品もあるので、製品仕様を注意深く調べておきたい。

無線LANルーターの背面には有線LAN端子がある。インターネットがギガ対応回線なら、有線LANもGigabit Ethernet対応を選びたい
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形状や付加価値にも注目

 無線LANルーターを選ぶときは、形状も大事だ。無線LANルーターの上位機種には、ノートパソコンやゲーム機より大きい製品もある。購入前にサイズは必ず確認しておこう。

無線LANルーターの最上位機種は巨大だ。写真の「WXR-2533DHP」は横幅が316mmもある。これはアンテナの間隔を広げることで電波干渉を防ぐことと、内部基板の冷却の効率を求めてあえて大きくしたという
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 無線LANルーターには、アンテナは外部に備える製品と内部に搭載する製品がある。アンテナを内蔵する製品を発売しているメーカーによると、アンテナの実装方法による差はほとんど無いという。

 無線LANルーターが備える付加機能にも注目したい。特に、電波が届きにくい場所にある子機に届く電波状態を改善できる「ビームフォーミング」や、親機に複数台を接続したときに速度低下が起きにくい「MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)」といった、通信状況を改善する付加機能だ。ただし、ビームフォーミングやMU-MIMOを使うには、無線LANルーターの対応だけでなく、対応するスマホ、タブレットパソコンが必要となる。

 無線LANルーターの上位製品には、USB端子を備えた製品が多い。そのような製品は「簡易NAS」機能を利用できる。簡易NAS機能とは、USB端子にUSB接続のハードディスクやUSBメモリーを取り付けると、それらの中に保存したデータをネットワークで共有できる機能のこと。複数のパソコンやスマホ、タブレットでファイル共有をするときに便利だ。製品によってはUSB端子にUSB接続のWebカメラを接続すると、ネットワークカメラとして利用できる製品もある。

 出先からネットワーク内のパソコンを起動したり、ルーターに接続したUSBストレージのデータを読み書きできる「リモートアクセス」や、USBストレージに保存した音声や動画データをテレビやゲーム機などで再生できる「メディアサーバー」といった機能を搭載する無線LANルーターもある。