最大通信速度と実際の速度が大きく異なる携帯電話の通信サービス。そこで総務省が提示したガイドラインに基づき、各キャリア共に実際に測定した実効速度を公開するようになったのだが、その結果を見ると、auの上り通信速度が他社と比べて著しく遅いことが明らかとなった。

 なぜ、auだけが上りの通信速度が遅いのだろうか。またそのことが、実際の利用にどの程度影響を及ぼしているのだろうか。

公表資料で「auの遅さ」が明らかに

 携帯電話各社のデータ通信サービスは、これまで「最大300Mbps」といったように、採用している通信方式における、理論上の最大通信速度を掲げてアピールすることが多かった。だがスマートフォンのスピードテストアプリなどで通信速度を測定してみると、それよりもはるかに低い通信速度しか出ていないことが多い。

 その理由は、現在各社が採用しているLTE-Advancedなどの通信方式が、環境に応じて通信速度が変化するベストエフォート型の通信方式であるため。理想的な環境であれば最大速度に近い通信速度が出るかもしれないが、携帯電話の通信はケーブルではなく、電波を大勢の人と共有して実施することから、周囲の環境に大きく左右されやすい。基地局からの距離が遠かったり、間に障害物があったり、周囲に利用者が多かったりすると、そのぶん速度が大幅に低下してしまうのだ。

 そこで総務省が、より実際の利用シーンに即した通信速度をユーザーに示すよう、2015年7月に「移動系通信事業者が提供するインターネット接続サービスの実効速度計測手法及び利用者への情報提供手法等に関するガイドライン」を策定したのである。

 そこで2015年12月より、主要3社はこのガイドラインに従い、同じ方法で実際に測定した実効速度を、ウェブサイトやカタログなどで公開。より実際の利用に近い通信速度が確認できるようになった。

 だがこの実効速度に関して、NTTドコモが1月29日の決算発表会で公表した資料が、ちょっとした話題を集めた。

 NTTドコモはこの時、主要3社が測定し、公表した実効速度の結果を集計して比較する図を提示。同社が上り・下り共に他社より高速であることを示したのだが、この際KDDI(au)の上り通信速度が中央値で6Mbpsと、20Mbpsを超えている他の2社と比べ著しく低速であることが明らかにされたのである。

 しかもauは、ウェブサイトなどで上りの実効速度を公開していないことから、一層auの上り通信速度の遅さが際立って注目されたわけだ。

 KDDIに確認したところ、公開された上りの実行速度は事実であると認めており、確かにauの上りの通信速度は他社より低速であるようだ。

NTTドコモが1月29日の決算説明会で公開した、各社の実効速度計測比較。auの上り通信速度が、他の2キャリアより大幅に遅いことが注目された。写真は同説明会より
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