コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、2017年9月21日(木)~24日(日)、幕張メッセで行われる「東京ゲームショウ2017」(TGS2017)の開催概要を発表した。東京都内のホテルで2月22日に行われたTGS2017の開催発表会には、業界関係者366人(前年は330人)が来場した。

2017年2月22日に開催発表会には、業界関係者366人が来場した
2017年2月22日に開催発表会には、業界関係者366人が来場した

 東京ゲームショウの今年のテーマは、「さあ、現実を超えた体験へ。」だ。VR(仮想現実)などの新技術によってゲームの表現力が現実を超えていくという意味だけでなく、TGS自体も新しい体験を提供できるイベントにしたいというメッセージが込められている。

 今年の柱は大きく4つある。1つは動画配信の強化だ。主催のコンピュータエンターテインメント協会(CESA)会長の岡村秀樹氏(セガホールディングス社長COO)は、発表会の冒頭、「2016年は27万人もの来場者があり、会場のキャパシティーの限界に近づきつつある。それでも、さらに多くの人にリーチするために、国内外の動画配信パートナーの協力を得ることで、会場に来られなかった方々に動画で情報を届け、TGSの(情報発信力という)パフォーマンスを最大限発揮できるように強化してきた」と話した。

CESA会長の岡村秀樹氏
CESA会長の岡村秀樹氏

 TGSでは2016年から、ドワンゴによる特別協力のもと、動画サービス「niconico」での番組制作・配信を強化している。同時に、海外市場向けには米Twitchなどの協力を得て、英語番組の制作・配信を実施している。「昨年はniconicoによるTGS関連番組だけでも440万来場者に見てもらった。今年はさらに500万来場者を超えるように取り組みたい」と、CESAイベント委員会の委員長を務める辻本春弘氏(カプコン社長COO)は話す。TGSの動画配信を強化していくことで、国内外の壁を越えてTGSの情報を届ける態勢を整えたい考えだ。

CESA理事・イベント委員長の辻本春弘氏
CESA理事・イベント委員長の辻本春弘氏

伸びる海外出展社、次の狙いはインド

 2つ目の柱はグローバル化だ。昨年のTGS2016は、614社の出展社中、345社が海外企業。2015年よりも海外企業が4割増え、2011年の社数と比べると約6倍まで成長した。「これまでアジアNo.1のゲームイベントという目標を掲げて、アジア地域からの出展強化に努めてきた」(辻本氏)。その成果として、海外出展社が急増している。しかし、まだまだ開拓すべきエリアはある。

 次のターゲットの一つがインドだ。「2017年2月、India Gaming Show 2017(インド・ニューデリー)にCESAとして出展し、インド政府と直接対話してきた。(そこでの感触として)TGSはわれわれが思っている以上に海外から注目を集めていると実感している」と岡村氏は述べた。2016年段階で、インドからの出展社は1社にとどまっている。India Gaming Showへの出展によって、インドゲーム産業への認知度が深まり、インド企業のTGS出展も加速する可能性がある。

 辻本氏は、「家庭用ゲーム機、スマートフォン、パソコンなどのゲームプラットフォームで多様性に富むTGSは、各国の市場に合わせた商談ができる場となる。海外出展社の拡大によって、日本のゲーム産業がさらに発展する」と話し、海外マーケットへの進出の足がかりとしての機能に期待を寄せた。

 TGS2017の3つ目の柱が、eスポーツ企画の強化だ。eスポーツはさまざまなゲームタイトルによる競技大会で、海外ではプロチームが高額賞金の大会に出場するなどして、認知度が高まっている。

 「海外では非常に活況を呈している。CESAとしても強化していきたいポイントで、eスポーツをTGS2017の目玉としたい」と、辻本氏は意気込む。グローバルで沸き上がっているトレンドを背景に、国内でも大きなムーブメントを巻き起こしたい考えだ。

 共催者として登壇した日経BP社の新実傑社長は、TGS2017の4つ目の柱である「VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)などの新技術への対応」に期待をにじませた。「2016年はVRなどが具体的に目の前に現れた。ARやAI(人工知能)など新技術が浸透して、世界が変わり始めている。さらにゲーム会社のグローバル化を支援する新技術フィンテックは、従来の銀行口座やクレジットなどの決済方法が到達できない新興国でゲーム人口を拡大できる可能性がある」(新実社長)。

日経BP社の新実傑代表取締役社長
日経BP社の新実傑代表取締役社長

 積極的なグローバル化、新技術の応用などによって、成長を続ける日本のゲーム産業。そのマイルストーンとしてのTGSの役割はますます重要になってきている。2017年のトレンドの中核は誰が担うのか。ゲーム会社の動向に注目が集まっている。

(文/渡辺一正、写真/木村輝)

東京ゲームショウ2017 開催概要

名称: 東京ゲームショウ2017(TOKYO GAME SHOW 2017)
会期: ビジネスデイ 9月21日(木) 22日(金)、
     一般公開日 9月23日(土) 24日(日)
会場: 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)
主催: 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)
共催: 日経BP社
特別協力: ドワンゴ
後援: 経済産業省(予定)
入場料(一般公開日): 一般(中学生以上)=前売券1000円(税込み)/
     当日券1200円(税込み)
     子供(小学生以下)=無料
東京ゲームショウ公式サイト: http://tgs.cesa.or.jp/

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