2015年は、デジタル一眼や高級コンパクトなどのデジカメ本体のみならず、交換レンズも魅力的な製品が多数お目見えした。各社の交換レンズを試用&購入する機会の多いカメラマンに、2015年でもっとも高い評価を与えたレンズ3本を挙げてもらった。ボディーを買い替えても長く第一線で使い続けられる優れた交換レンズはどれだろうか? 今回は、吉村 永カメラマンと鹿野貴司カメラマンの2名のベストチョイスを紹介しよう。

【吉村カメラマン:第1位】シグマ「20mm F1.4 DG HSM」

 シグマといえば、この数年で写真ファンからの人気が急上昇しているメーカーだ。他社にはないユニークな商品企画をもとに、とんがった性能を持つレンズやカメラを矢継ぎ早にリリースし、注目を集めている。

 1位に挙げた「20mm F1.4 DG HSM」は、超広角大口径レンズというジャンルでフルサイズに対応した意欲作だ。24mm F1.4は珍しくないが、20mmという超広角でF1.4の明るさは世界初のスペックとなる。

シグマの「20mm F1.4 DG HSM」。キヤノン、ニコン、シグマ用の3種類を用意する。実売価格は12万円前後
[画像のクリックで拡大表示]

 レンズ単体で約950gという重量級のレンズだが、シグマのArtラインレンズ共通のデザインは端正で、手にした時の質感の高さにも満足させられる。

 広角大口径レンズといえば、自分もAPS-Hサイズのセンサーを搭載したキヤノンの「EOS-1D Mark II」をメインに使っていた時代には、35mm判換算の焦点距離が約32mmの使いやすい画角のレンズとして、純正の「EF24mmF1.4L USM」を愛用していたが、フルサイズをメインに使うようになってからは出番がとても少なくなっていた。だが、シグマの20mmは標準ズームではカバーできない20mmという超広角。「このレンズだったら、なにが撮れるだろう?」という期待とともに、持ち出す機会が増えた。

 このレンズでいろいろと撮影したが、極めて優秀な超広角レンズという感想だ。絞り開放での撮影では、周辺部分の光量と解像力がわずかに落ちる。だが、とてもなだらかなので、かなり平坦な被写体でなければ気がつかないだろう。驚いたのが逆光への耐性で、画面内に太陽を写し込んだ撮影でも画面全体のコントラストが犠牲にならず、構図の自由度がとても高い。ディストーション(広角ゆがみ)もきわめて小さく、強いパースとともに建造物などを撮影しても端正な描写で、直線がピシッと描写される様子は気持ちがいいほどだ。

 Artの銘を冠したシグマ製レンズは、これまで仕上がりに裏切られたことはなく、こういった描写性能の高さはいわば想像通りといえる。それよりも、広角なのに背景がボケたり、薄明かりの中でも手持ちで撮影できるこのレンズならではの世界に驚いた。レンズを手にして1カ月あまり、まだ驚きのすべてを見つけ切れていないのだが、さらなる発見に期待して日々持ち歩いている。

落ち葉の絨毯をローポジションで撮影。マクロレンズ的な撮影をすると、超広角でありながら背景をぼかした描写が楽しめる(EOS-1D X使用、ISO100、1/2000秒、F1.4)
[画像のクリックで拡大表示]