2016年は、デジタル一眼や高級コンパクトなどのデジカメ本体のみならず、交換レンズも魅力的な製品が多数お目見えした。各社の交換レンズを試用&購入する機会の多いカメラマンに、2016年でもっとも高い評価を与えたレンズ3本を挙げてもらった。描写性能に満足できるだけでなく、撮影が思わず楽しくなる優れた交換レンズはどれだろうか? 今回は、鹿野貴司カメラマンと三井公一カメラマンの2名のチョイスを紹介しよう。

【鹿野カメラマン:第1位】シグマ「12-24mm F4 DG HSM」

 2016年は実にさまざまなレンズが登場したが、もっとも驚かされたのがシグマの「12-24mm F4 DG HSM」だった。キヤノンからは、ワイド側が1mm広い純正レンズ「EF11-24mm F4L USM」(実売価格は33万円前後)が発売されているが、それに比べて実売価格は約半分。キヤノンEFマウントにニコンFマウント、シグマSAマウントと3種類のマウントに対応しているだけでなく、有償だが異なるマウントに変更できる点も見逃せない。

シグマが2016年10月に発売した広角ズームレンズ「12-24mm F4 DG HSM」。実売価格は16万5000円前後で、キヤノン用、ニコン用、シグマ用の3種類を用意する
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 シグマは、古くから意欲的な広角ズームを発売してきた。2003年に登場した「12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL」は歪曲収差が驚くほど少なく、インテリアや不動産広告などを撮影する職業カメラマンの間で人気の1本だった。2011年には2代目の「12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM」にリニューアルし、解像力は向上したものの、歪曲が目立つようになってしまった。スペックや価格を考えれば十分及第点だと思うが、シグマは12-24mm F4 DG HSMでその点に果敢に挑戦してきた。半段~1段明るい全域F4にスペックアップしつつ、先代で気になった歪曲は堂々とゼロをアピールするまでにいたった。実際に撮影すると、超広角ズームとは思えないほどゆがみがなく、しかも隅々までシャープ。超高画素機でもこれなら安心して使えると感じた。

 その代償というべきか、大きさと価格は先代よりも大幅にアップした。しかし、ここ最近のデジタル一眼レフは単に画素数が増えただけでなく、解像感自体が格段に向上している。持てる性能を存分に引き出すには、それなりの光学性能を持ったレンズが必要なのはまぎれもない事実なのだ。そんな時代に、このスペックと性能が実売16万5000円というのはお買い得感があるし、空間を切り取るような超広角ならではの楽しさも味わえる。多くの人に体験してほしい1本だと思う。

歪曲収差ゼロの超広角レンズは、構造物を気持ちいいくらいまっすぐに写してくれる。12mmにもなると画角の広さは肉眼を超えており、新しい表現が楽しめそうだ(EOS 5D Mark III使用、ISO800、1/20秒、F5.6、12mm)
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