2016年に設立20周年を迎えたコンピュータエンターテインメント協会(CESA)。CESAの岡村秀樹会長(セガゲームス会長)らは「ゲーム業界にとって、次の10年、20年の礎になるような環境づくりをしっかりと進めたい」と抱負を語った。2017年1月11日に開催した新年賀詞交歓会でのことだ。

 CESAは2015年にソーシャルゲーム関連団体と統合し、現在の会員企業は166社にまで増えている。ゲーム関連団体としてはまさしく中核の存在となった。それだけに日本のゲーム産業を取り巻くさまざまな課題に取り組み、社会的な役割を担う重要性が増している。

 そうした機運を捉え、CESAとしてスマートフォンゲームアプリなどで使われる「ガチャ」に関するガイドラインを策定したり、主に技術関連の人材を育成するためのワークショップを開催するなど、社会に対する提言、啓蒙などの取り組みを強化。「昨年に引き続き、今までのCESAが直面してこなかった問題に取り組み、ゲーム業界のための環境づくりを進めたい」と岡村会長は話す。

 ゲーム業界を取り巻く環境の変化は、社会との関わりだけではない。「“VR元年”と言われた2016年以降も、VR(仮想現実)市場の消費者との架け橋となるのはゲーム産業だ。さらに『ポケモンGO』のようにAR(拡張現実)を使った地域活性化の示唆もあった。ゲーム産業が活躍できる余地はまだまだあると実感した」(岡村会長)というように、テクノロジーやビジネスモデルの変化も著しい。

 乾杯の挨拶に立った辻本春弘理事(カプコン社長COO)も、2016年に起きた大きなイノベーションとして、VRとARの2つを指摘した。「これらの技術をゲーム以外の産業で活用する場合、インタラクティブという面で経験があるゲーム業界の役割は高まる。毎年のように起きるイノベーションを乗り越えて発展していきたい」と、新しい技術に積極的に取り組む重要性を説いた。

 さらなる取り組みとして、新たな海外マーケットへの対応も急務だ。「2017年2月2日~5日、インド(ニューデリー)で初めて開催するゲーム展示会『India Gaming Show 2017』に経済産業省の支援をもらってCESAとして出展する。勉強しておいて間違いはないマーケット。その結果は会員企業に情報共有していきたい」と、岡村会長は新興市場への期待感をにじませた。

 中締めの挨拶に登壇した田中良和理事(グリー会長兼社長)も「初詣に参拝した愛宕神社で、酉(とり)年は夜明けを告げる鶏という話をいただいた。ゲーム業界としても、新しい変化に挑戦していく年として発展をしていきたい」と抱負を語っていた。20周年という一つの節目を超えたCESA、そしての日本ゲーム産業にとって、新しい変化にどのように対応し、さらなる発展を遂げるのかがさらなる20年へのカギとなりそうだ。

(文/渡辺一正)

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