雲行きが気になって窓から外を見ようと思ったら窓に天気予報が表示され、週末に家族そろってディナーを楽しんでいると最近撮影した写真が表示されて1週間を振り返れる――。このような機能を持つ次世代の窓「Window with Intelligence」のプロトタイプを建材メーカーのYKK APが発表した。家庭の中心のリビングにある窓を情報のハブとして使い、IoT家電の制御機能などで日々の暮らしを便利にすることを狙う。現在開発を進めており、3年後をメドに実用化を目指す。

大型の有機ELパネルとタッチパネルをはめ込み、さまざまなコンテンツが表示できる窓「Window with Intelligence」
[画像のクリックで拡大表示]
センサーからの情報や日々の生活パターンをもとに、室内の換気や家電の制御などを窓自身が動で実行する機能も盛り込まれる
[画像のクリックで拡大表示]

窓に透明な有機ELパネルをはめ込んだ

 Window with Intelligenceは、大型の強化ガラスに透明な有機ELパネルとタッチパネルをはめ込み、窓としての機能を維持しながら情報の表示やタッチ操作を可能にした。有機ELパネルのサイズは55型で、窓のサイズは1062×1596mm。

 天気などの情報をインターネットから自動で取得して表示するほか、窓に相手の顔を写してのビデオチャット機能も搭載する。壁に埋め込まれたカメラが自動で撮影した写真を表示し、日々を振り返れるライフログ機能や、家族が帰宅したことを検知して文字やイラストを表示する機能なども備える。表示した情報が外から見えないように、ブラインドのような機構を搭載することも検討しているという。

天気や気温を表示できる。パネル自身は透明なので、普通の窓と同様に背後の風景が透けて見える
[画像のクリックで拡大表示]
換気機能を有効にすると、室温や空気の汚れに応じて窓の上部が自動で開閉する
[画像のクリックで拡大表示]
窓の脇に設けたカメラが自動で撮影した写真を表示し、日々を振り返れるライフログ機能も備える
[画像のクリックで拡大表示]
顔認識機能を利用し、特定の家族が帰宅した際に手描きの文字やイラストを表示する機能も持つ
[画像のクリックで拡大表示]

 窓は下部にヒンジが設けられ、上部を少し開けることで換気できる。窓の開閉は窓が自動で制御する仕組み(手動での制御も可能)。室内の温度や空気の状況をセンサーが測定し、窓自身が状況を判断して開閉し、快適な状況を保てる。窓の脇にあるカメラで室内の様子をビジュアル的に捉え、「家族全員がそろう朝食の前に窓を開けて新鮮な風を取り入れる」「家族が就寝していなくなると窓を閉じる」といったように、日ごろの生活パターンを把握して窓の開閉を制御する機能も持つ。

 IoT家電との連携機能も備える。特に、「Amazon Echo」や「Google Home」などのAIスピーカーとの連携も図り、エアコンや照明の制御も音声でできるようにする。

IoT家電との連携機能も備える。パネルの操作で制御できるほか、状況に応じて窓が自身で制御する
[画像のクリックで拡大表示]
AIスピーカーとの連携機能も盛り込む。音声でさまざまな家電を制御できるようになる
[画像のクリックで拡大表示]
iPhoneの画面をミラーリングで表示する機能も搭載する。iPhone内のお気に入りの写真を全画面で表示し、窓の風景を変えて楽しめる
[画像のクリックで拡大表示]
さまざまなアプリを導入して起動することも可能。窓という特性を生かした専用アプリも精力的に開発していくという
[画像のクリックで拡大表示]

 薄型テレビなどのディスプレーではなく窓を利用した理由について、未来窓のプロジェクトを担当する東 克紀氏は「YKK APは“窓を考える会社”なので、まずは窓でやってみようと考えた。屋外のリアルな状況と一緒に情報を参照できるなど、窓ならではの優位性がある」と語る。

 ユニークなコンセプトだが、課題もある。直射日光にさらされる窓だけに、試作機では有機ELパネルの耐用年数が3~5年と短いそう。価格は未定だが、100万円を超えないレベルになるということで、一般の窓と比べればかなり高い。まずは法人向けに開発を進め、実績を重ねてから個人向けに展開していくという。開発中のモデルは、同社のショールーム(東京都渋谷区)にて展示する。

(文/磯 修=日経トレンディネット)