2017年4月19日(現地時間)、ソニーが海外でフルサイズの高性能ミラーレス一眼「α9」(ILCE-9)を発表した。データの高速読み出しが可能な独自の積層型CMOSセンサーを新たに採用することで、ピントを合わせながらの高速連写性能を秒20コマに向上。オートフォーカスは画面の隅でも合うように強化したほか、高速連写時でもファインダーの像が消失しないように工夫。それでいながら、従来モデルと同等のコンパクトなボディーを維持した。

 スポーツ撮影などで速写性能を重視するプロカメラマンにとって欠かせない撮影性能を高いレベルに引き上げながら、一眼レフよりも圧倒的な小型軽量ボディーで高い機動性を確保したことで、プロ用カメラが一眼レフではなくミラーレス一眼に転換するきっかけの1台となりそうだ。米国での価格は4499.99ドル(約49万円)で、発売は6月の予定。日本での販売は未定。

ソニーが海外で発表したフルサイズミラーレス一眼「α9」(ILCE-9)。プロ向けの高性能デジタル一眼レフを超える撮影性能を小型軽量ボディーに凝縮し、スポーツカメラマンなどプロの利用を見込む
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積層型CMOSセンサーの採用で速写性能を大幅にアップ

 プロ向け一眼レフを超えるべく、α9はさまざまな機能を磨き上げた。その1つが速写性能だ。データ蓄積用のメモリーを備えた積層型CMOSセンサー(有効2420万画素)をフルサイズ一眼で初めて搭載することで、撮像素子がキャッチしたデータを高速で転送できるようにした。オートフォーカス(AF)や自動露出(AE)を働かせながらの連写速度を秒20コマに高めたほか、1/32000秒の高速シャッターにも対応する。

本体サイズやデザインは、すでに発売中のフルサイズミラーレス一眼「α7」シリーズとほとんど変わらない。撮像素子の画素数は有効2420万画素に抑え、速写性能を優先した。ボディー内の5軸手ぶれ補正機構も継承する
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背面はボタンやダイヤルのレイアウトを大幅に変更したほか、液晶はタッチパネルを採用。液晶パネルの右側にジョイスティック型の操作デバイスを追加したのも注目される
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上部の左側には、ドライブモードのダイヤルを追加した
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 オートフォーカスも、独自の高速AF技術「4D FOCUS」を採用して飛躍的に高めた。像面位相差AFの測距点は693点で、93%もの広い領域をカバー。ピント合わせ自体も高速化し、素早く動く被写体にも食らいつくようにピントを合わせ続ける。

 電子ビューファインダーの表示性能も高めた。撮影直後のデータ記録時にファインダーの像が表示されなくなるミラーレス一眼特有のブラックアウトを解消し、高速連写時でも被写体をしっかり追いながら撮影できるようにしたのが注目される。ファインダーの有機ELパネルは368万ドットの高解像度タイプに変更し、精細さを高めて見やすさを向上した。

ミラーレスの欠点を解消し、東京五輪に照準

 スポーツ撮影のカメラマンがこれまでミラーレス一眼を使ってこなかったのは、「電子ビューファインダーは光学ファインダーと比べて精細感に欠け、表示に遅延や残像が発生する」「オートフォーカスを合わせながらの連写速度が遅い」「オートフォーカスが遅く、ピントの合うポイントが少なく狭い」といった欠点があったからだ。だが、α9でこれらの欠点はほぼ解消されたといえる。

 かたや、「ボディーやレンズが軽量コンパクトで扱いやすい」「背面液晶を見ながらのライブビューでも撮影性能が落ちない」「明るさや色合い、構図などの仕上がりが撮影前に確認できる」「撮影時にミラーが上下しないのでぶれの発生が少ない」といったミラーレス一眼のメリットはα9でも健在だ。超望遠を中心とする交換レンズのラインアップ不足は課題といえるが、一眼レフに対しての欠点を解消しつつミラーレスならではの魅力を保ったことで、スポーツカメラマンも注目すべきカメラになったといえる。2020年の東京オリンピックでは、一眼レフではなくミラーレス一眼を駆使するカメラマンの姿が少なからず見られそうだ。

α9と同時に、望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」を発表。価格は2499.99ドル(約27万2000円)。今後、超望遠レンズなど高性能レンズの拡充が望まれる
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(文/磯 修=日経トレンディネット)