『日経おとなのOFF』はGINZA SIX内にある観世能楽堂で、“舞”と“芸術講座”を通して日本文化に触れるイベント「舞と芸術の夕べ」を開催した。

 奈良元林院・雛菊(ひなぎく)による地唄舞、女優・羽田美智子さんへの公開インタビュー、さらに春日大社国宝殿 主任学芸員 松村和歌子さん、奈良国立博物館 館長 松本伸之さんを迎えての、日本文化・芸術、そして奈良の魅力満載のトークセッションと、盛りだくさんの内容でイベントは行われた。

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第一部 演舞
能楽堂の舞台で表現する女心

 会場のライトが落ち、三弦の音色が開演の合図。橋掛りより幽玄に登場した雛菊が披露した『名護屋帯(なごやおび)』は、恋しい男を思い出し淋しさでやつれはてひとり寝の身の末を語る、艶かしい女心を歌った曲で、その哀愁ある舞い姿に会場は独特の雰囲気に包まれていった。能楽堂の舞台で舞われる座敷舞に吸い込まれるようなひとときは時間を忘れさせ、これから始まるイベントの期待を膨らませる内容に来場者からの拍手が送られた。

東大寺の大仏がモチーフ

 第一部のスペシャルゲストとして登場した東大寺長老 筒井寛昭氏は「大仏様とは仏様が立って一丈六尺、座って八尺の十倍以上の大きさをしたものを言い、大きな仏様を作ることで昔の人は宇宙を表現しようとしていた」というエピソードとともに、演目『大仏』の歌詞を「奈良・東大寺の大仏様と秀吉が作った京都・方広寺の大仏様を恋人同士にたとえる奇抜な発想で男女の愛情を大らかに表現した官能的な曲であり奈良を舞台にした地唄舞の一つです」と解説した。

 解説を聞いた後に見る地唄舞『大仏』は、凛とした動きの中にどこかユーモアのある舞であり、先ほどの『名護屋帯』とは一味違い、妖艶さだけでなく人の持つ恋心の寂しさや切なさを大仏様がどこか明るく照らしているように感じられた。

第二部 芸術講座
公開インタビュー
日本文化は楽しむもの

 日本舞踊の経験もある羽田美智子さんが登場し、第一部の舞を見て「指先まで美しい所作に長年の積み重ねを感じ、これが日本舞踊の伝統なんだなと感じた」と自身の体験と合わせ、積み重ねて行くことでわかる、日本文化の魅力を語った。

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 日本の文化に触れるコツについては、「作法に縛られず、素人なりにまずは楽しむことが一番」だという。羽田さん自身も京都で写経や座禅を体験するなど、様々な日本文化に触れているという。特に印象に残っているのは、書家の石川九楊先生の元で体験した、過去の偉人の書の文字を真似して書くことで、偉人の気持ちを体感する“臨書”。「岡本太郎さんの文字からは、俗っぽくなく、こだわりがない人柄と世界に何かを発信しようとする意志を感じ、文字から本当に爆発を体感できた」と語った。