国際突破力を持つグローバルな博士人材を養成

日本人は英語による提案力が苦手だと言われるが、カデットプログラムでは実践的な英語教育も行っている。具体的には、専任の特任准教授による「物質科学英語」科目を必修化し、物質科学における英文執筆とプレゼンテーション力を強化。また、英語圏出身の講師によるサイエンス・ディスカッションでは、英語で意見を正確に伝える能力を磨くことで、海外の研究現場でも対等に議論や自己主張できる、「国際突破力」を持った博士人材の養成を目指す。

自律的な国際イベントの運営や教科書出版事業も

日本は「ものづくり大国」だと言われて久しい。しかし、加速する最先端のICTと連携した技術革新への対応や、エネルギー問題、後継者不足といった課題も山積している。そういった状況で各企業の最前線で求められる人材は、技術革新の方向性を正しく捉え、解決策を用意できるリーダーである。企業は物質科学分野における次世代のリーダーに、「企画力」「自立性」「発信力」の素養を求めているが、カデットプログラムでは物質・材料科学の視点から問題を解決し、産・学・官を束ねるリーダーとして広く活躍できる博士人材の育成でそのニーズに応えている。

国際シンポジウムも学生の運営で行われる。写真は平成26年11月に開催された第1回カデットプログラム国際シンポジウムの様子

プログラムでは、若手メンターが履修生の自主的な起案と実施の手法を指導する。「例えば、年1回開催される国際シンポジウムでは、テーマ設定はもちろん、講演者の選定・依頼や会場の手配、プログラムの作成や当日の進行といった、イベント運営のすべてを履修生が手がけることで、企画力やリーダーシップ、コミュニケーション力など、次世代リーダーに不可欠な能力を総合的に養っています」(芦田教授)

学生が自主的に作成した問題集は、民間企業から社員教育にも使いたいとオファーされるほど

また、大阪大学出版会から出版された「100問集シリーズ」の教科書プロジェクトは、履修生が自発的に始めたもので、書店やインターネット書店で購入できる。「履修生自身が自主的に発案から実際の出版に至ったという点では、同プログラムの具体的かつ最も大きな成果のひとつと言えます」(芦田教授)

「カデットプログラムは今年で6年目。履修生からは『専門知識や技術を企業で生かし、イノベーションを起こしたい』といった意見が数多く寄せられるようになりました。企業側の博士人材の受け入れ態勢も進んでいるので、博士課程修了後に民間企業に就職する卒業生の割合も増えています。今後もこのプログラムの経験を大学院教育に敷衍させていきたい」と、芦田教授は今後の展望について語った。

お問い合わせ/大阪大学
http://www.osaka-u.ac.jp/ja