独自開発のパーセプションフローモデルとは

――そのほかの共通言語には何がありますか。

音部氏: 私が独自で構築した「パーセプション・フロー・モデル」を使います。これはマーケティング活動の包括的な設計図と言えます。消費者の購買行動の前には必ず認識(パーセプション)があると考えています。カスタマージャーニー(消費行動の全体像)におけるさまざまなタッチポイントにおいて、どのような認識の変化を与えるのかを設計していきます。

 購買までの間にどんな認識の変化があるかを分析することで、マーケティングプランがうまくいかない場合には、このパーセプションを起こせていない部分がボトルネックだと分かります。例えば、店頭への誘導段階で、すごく買いたいという気持ちを醸成できれば、消費者は店舗内で探してでも購入してくれます。もし、それが難しければ、店頭で山積みにして衝動買いを誘うなど、問題点に対する対策も打てるようになります。

「パーセプションフローモデル」の導入で知識の共有が可能に
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 マーケターにはこのパーセプション・フロー・モデルの設計方法や読み方を教育する。これにより他のブランドのパーセプション・フロー・モデルを見るだけで、施策が成功したポイントがひと目で分かるようになります。その結果、ブランドを成長させるための源泉である、知識や経験の流通量を飛躍的に増やすことができます。

――独立後は、そうした仕組み作りを支援するのでしょうか。

音部氏: 独立後は主に6つの領域でコンサルティングサービスを提供したいと思っています。

(1)マーケティング戦略の立案
(2)イノベーションの始動
(3)マーケティングオーケストレーション実現の支援
(4)セカンドオピニオンの提供
(5)社内外向けの提案の支援
(6)ブランドマーケティング組織の構築・強化の支援

 (1)マーケティング戦略の立案では、目的とゴールの設定、および戦略のレビューをします。日本の企業の多くはマーケティングの目的を明確化できていないことが多い。例えば、サンプリングキャンペーンの目的を聞くと「1人でも多くの消費者に、商品を体験してもらう」といった答えが返ってくる。ですが、体験してもらった結果、何をしたいのかが分からない。これでは単に1万人にサンプルを配るというKPI(重要業績評価指標)を設定して、単にばらまくだけで目的達成になってしまいます。これではPDCAが回りません。PDCAを回さなければ知識が蓄積されないまま、ただ同じことを繰り返すだけになってしまう。

 そうならないためにも、企業はより具体的にマーケティング施策の目的を設定すべきです。トライアルの顧客を獲得したいのか、あるいはリピーターを増やしたいのか。トライアルであれば、その製品のカテゴリーの新規顧客を獲得したいのか、それとも競合から顧客を奪いたいのか。目的を明確化することで、PDCAを回し、知識や経験を蓄積できるようにします。

 (2)イノベーションの始動は、属性順位の転換による市場創造の支援を意味します。また、(3)マーケティングオーケストレーション実現の支援では、パーセプション・フロー・モデルを活用して、統合的なマーケティングを実施できる全体設計図の開発などを手掛けます。こうしたマーケティングの強化で、日本の企業はもっと強くなれるはずです。そのために、役立つ存在になれるのではないかと考えています。

(構成/中村勇介=M5メディア編集、写真/新関雅史)