専門家が「2018年のデジタル製品トレンド」を予測する、日経トレンディネットの1月特集。モバイルジャーナリストの石野純也氏は、今年2018年をどう予測するのか?

石野純也氏の予測は……
【1】「機械学習」を売りにするスマホが増える
【2】縦長ディスプレーの次は「2画面」がスマホの新トレンドに?
【3】人気を集める機種は「3万円前後」。新規メーカーの参入も
【4】格安スマホは、勝ち組・負け組の「格差」が広がる

「機械学習」を売りにするスマホが増える

 スマホがコモディティ化していると言われるなか、2017年は、18対9とディスプレーを縦長にしたり、チップセットに機械学習の処理機能を持たせたりと、端末側にも大きなブレークスルーがあった。「iPhone X」に搭載された、TrueDepthカメラとそれを使った顔認証も、これまでにない機能として大きな注目を集めている。

 こうしたトレンドは、2018年も続いてくはずだ。特に人工知能(AI)は、2017年以上に注目を集める機能になる可能性がある。

 現状でも、ファーウェイの「Mate 10 Pro」や、アップルのiPhone 8、8 Plus、Xが、AIのベースとなる技術「機械学習」を売りにしている。ファーウェイは、傘下のハイシリコンが開発するチップセットの「Kirin 970」に、機械学習専用の「NPU」(ニューラル・プロセッシング・ユニット)を搭載。これによって、カメラで撮影する際に自動で最適なモードを選択したり、翻訳アプリの処理を高速化したりといった特徴を打ち出した。

ファーウェイ傘下のハイシリコンは、機械学習の処理に特化したNPUを「Kirin 970」に搭載。これを採用した「Mate 10 Pro」は、撮影シーンの認識などに、NPUを活用する
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 対するアップルも、チップセットの「A11 Bionic」に「neural engine」を採用しており、人物に照明効果をつける「ポートレートライティング」という機能や、iPhone Xに搭載されたFace IDによる顔認証の識別に、機械学習の成果を活用している。機械学習によって、写真の中に写る人物をより正確に見分けたり、認証を正確に行えるようになったというわけだ。

アップルも、機械学習の処理に長けた「A11 Bionic neural engine」を採用
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 こうした取り組みは、業界全体のトレンドになりつつある。Android端末の多くが採用するクアルコムのSnapdragonも、次期バージョンの「Snapdragon 845」で、機械学習の処理能力を強化。NPUのような専用のチップを載せたハイシリコンとはアプローチは異なり、処理に応じて最適なユニットを使うという手法が採られているが、機械学習を使う目的は同じだ。クアルコムによると、音声認識や顔認証、画像認識の精度向上や速度向上が期待できるという。

 現状では、まだSnapdragon 845が発表された直後で、これを搭載するスマホは登場していないが、すでに、中国メーカーのシャオミ(小米)が、フラッグシップモデルにSnadpragon 845を搭載する計画を明かしている。早ければ、2017年1月に開催されるCESや、同年2月のMobile World Congressといった各種業界イベントで、Snapdragon 845を搭載するスマホが発表される見込みだ。

 結果として、幅広い製品に、機械学習を生かした何らかの機能が搭載されるようになっていくだろう。現状では、まだ画像認識やカメラの画質向上程度にしか応用されていないが、ユーザーのやりたいことを先回りして機能を提案するようになるなど、より人に寄り添ったスマホを開発する競争が、加速していくはずだ。

クアルコムは「Snapdragon 845」で、機械学習の処理能力を強化。すでにシャオミが、搭載するスマートフォンの開発を表明している
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