VRやARを使ったアミューズメント施設がさらに増える

 2016年ごろからVRを使ったオリジナルのアトラクションを楽しめるアミューズメント施設が登場してきた。ロケーションベースVRとも呼ばれる。こうした施設の特徴は、VRヘッドセットを使ってVR世界に没入している人に、大がかりな装置を使って体を揺らしたり風を吹き付けるなどの“体感”を与えて没入感と高めていることだ。

 こうしたアミューズメント施設の代表が、2017年夏にオープンしたバンダイナムコ「VR ZONE SHINJUKU」だ。ドラゴンボールやマリオカートといった人気IPを使ったVRアトラクションを楽しめる。ほかにもアドアーズの「VR PARK TOKYO」など、ロケーションベースVRが増えてきた。この傾向は2018年も続き、VRといえばこうした施設で楽しむものというイメージが定着していくだろう。

 こうした施設では、HTC ViveやオキュラスリフトなどのハイエンドVR機器が多く使われている。HTCはViveの上位モデルでより高解像度になり装着感も改善した「Vive Pro」と、ViveやVive Proをワイヤレス化する「Viveワイヤレスアダプター」を発表。いずれアミューズメント施設にも導入されていくだろう。こうしたハイエンドVR機器のさらなる進化にも期待したい。

新宿歌舞伎町にオープンした、バンダイナムコの「VR ZONE SHINJUKU」。VRやプロジェクションマッピングなどを使ったアトラクションが楽しめる
[画像のクリックで拡大表示]

 既存のアミューズメント施設のリニューアルにVRを活用する手法にも注目だ。としまえんの「怨霊廃線VR」は、半世紀以上親しまれてきた名物アトラクションをVR用ヘッドセットを装着して体験することで、設備にほとんど手を加えずにリニューアルしたものだ。こうしたVRの活用が各地で見られるようになるかもしれない。

 VAIO、東映、3DCGアニメを手掛けるクラフターの3社は、既存の映画館で多人数が同時にVR映画を楽しめるという事業を発表している。これはVRの体験を増やして間口を広げることにつながりそうだ。

 ナンジャタウンが1月15日にオープンする「PAC IN TOWN」は、MRを使ったアトラクションだ。MRゴーグルを装着すると「パックマン」の世界が目の前に現れ、自身がパックマンになってクリアを目指す。こうしたMR(AR)を使ったアトラクションも増えそうだ。

家庭向けVRはやや足踏み?

 オキュラスリフトやHTC ViveといったハイエンドVR機器の値下げとWindows MRの登場で、本格的なVR環境はやや身近になった。しかし前述したようにコストや装着感の問題を抱えている。画質や視野角の向上はもちろん、もっと軽量で装着感が快適なものが求められるだろう。購入の動機となるような強力なコンテンツも必要だ。そしてこうしたことが実現するにはまだ時間がかかる。

 そうしたことから、2018年はVRは一過性のもので普及しないで終わるように見えるかもしれない。しかし、今では当たり前になってきた格安SIMとSIMロックフリースマートフォンも登場してから普及段階に入るまで数年かかっている。それと同様に、VRは普及段階に入る少し前の状態に差し掛かっている。

 増えてきたロケーションベースVRや、家電量販店の店頭にWindows Mixed Realityの体験ブースが展開されるなど、エンドユーザーがVRに触れて体験する機会は着実に増えている。設計や建築などビジネス用途でもVRは活用が始まっている。VRが物珍しかった段階は終わり、これからはVRの機材・コンテンツともに、本当に優れたものや面白いもの、言い換えるなら「質」が求められるようになっていく。それによってVRの本格的な市場が形成されて定着し始める。2018年はその最初の年になるだろう。