対談を終えて

――それでは、最後に、今回の対談についての感想をお聞かせください。

松原: これだけ長い時間、中島さんとふたりで話したのは、もしかしたら、人生で初めてかな。だいたい、間にいつも人がいたので、ふたりきりでしゃべる機会がなかった。そういう意味では、非常に貴重な機会でした。

中島: 付き合ってきた年月が長いので、松原さんが何を言うか、だいたいわかっているという意味では、お互いの言いたいことを補完し合っているようで、今回の対談は“共同作業”のような感じだった。

松原: 出会って35年くらい経つけど、お互い、自分たちでは「変わっていない」と思っているけれど、世間的にみれば、当然、変わったのかもしれない……まあ、ふたりとも大人になったかな。いい意味でも悪い意味でも、場合によっては言葉を選ぶようになったから。

中島: こういう機会はなかったので、おもしろかった。これからも、たぶん、それぞれの知識を合わせていった方がいいだろうって感じました。

――おふたりの話は、興味深いものばかりでした。ありがとうございました。

松原: ありがとうございました。

中島: ありがとうございました。

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 ここ数年、AIは、ビジネスや人々の暮らしに広く深く浸透し始めています。一方で、AIに対する知識の乏しさから、巷には「AIに職を奪われるのではないか」「AIが人類を滅ぼしたりしないか」などの誤解や恐怖も広がっています。
 そこで、日本のAI研究の第一人者である中島秀之氏と、毎回のゲストとの対談を楽しむだけで、「AIやITに詳しくない一般読者でも、AIについての正しい理解が得られるようになる」ことを目指して、この連載記事は企画されました。
 その記念すべき最初のゲストに、日本のAI研究のもうひとりの第一人者の松原仁氏を招き、AIやITに興味はあっても知識は持たない読者のために、あえて基礎的なテーマと一般人にも理解できる範疇での議論をお願いしました。
 AIの最先端にいるふたりの研究者が一般読者の目線に合わせて展開した貴重な対談は、AIとはいかなるものか、現状ではどれほどのインパクトを社会に与えているのか、将来的に人間の存在を脅かすのか、これから日本はどう取り組んでゆくべきか――など、急激に進化してゆくAIをどのようにして受け入れ、活用していくかについて、私たちが考えてゆくうえでの大いなるヒントになりました。
 次回は、AI研究者とはちがった角度からAIについて興味を持ち、中島氏と熱く語り合えるゲストを招いて、AIの魅力や真実に迫る対談を企画しています。
 どうぞ、ご期待ください。
中島 秀之(なかしま・ひでゆき)
東京大学大学院情報理工学系研究科 先端人工知能学教育寄付講座特任教授/公立はこだて未来大学名誉学長
中野ジェームズ修一

1983年、東京大学大学院情報工学専門博士課程を修了後、同年、当時の人工知能研究で日本の最高峰だった電総研(通商産業省工業技術院電子技術総合研究所)に入所。協調アーキテクチャ計画室長、通信知能研究室長、情報科学部長、企画室長などを歴任。2001年、産総研サイバーアシスト研究センター長。2004年、公立はこだて未来大学の学長となり、教育と後輩の育成、情報処理研究の方法論確立と社会応用に力を注ぐ。2016年3月、公立はこだて未来大学学長を退任後、同年6月、同大学の名誉学長に。