社会のデザインが必要になる

――では、「本来のIT化」を実現するためには、どうすればいいのでしょうか?

中島: 「AI研究者と社会学者の議論の必要性」について話したときにも、似たような話題に触れたけれど、社会をデザインしてくれる人が必要ですね。

――社会をデザインする人?

中島: たとえば、クルマのデザイナーは別に外形だけをやっているわけではなく、駆動系から乗り心地、安全性まで、クルマのトータルなデザインを受け持つわけです。それと同様に、社会の仕組みをトータルにデザインする人。

――社会の仕組みをデザインするんですか?

中島: たとえば「e-Taxを活用するには、いまのシステムをこういうふうに改正した方がいいよ」とか「企業はこういうふうに変わっていけばいい」、あるいは「交通網はこうしましょう」とか。

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――そんなデザインができる人は、いるでしょうか?

中島: いないから、必要なんです。たとえば、アメリカの金融政策が好例です。金融工学で他国に勝てるとわかれば、政府が主導して、資金と研究者を投入して、新しい金融商品をつくってきた。日本では、ああいうこと、絶対にやらない。

――そうなると、政府や経済界のトップが関わってくる話になりますが?

中島: 社会を動かす人が先導してやらないと、意味がないわけです。シンガポールなどは、その典型例です。

松原: 私も、本来、それが政治家の仕事だと思います。選挙のときに「社会をこうデザインしたいから、私を当選させてください」って。

中島: 政治家として「現状はまちがえている」と主張するなら、「代わりに、こうしたい」という次の社会のデザインをぜひ示してほしい。