FacebookとInstagram――この2つのSNSが、企業のマーケティング活動にどのように使われているのか? そして、効果的でかつ結果を出せる使い方とは? フェイスブック日本法人代表取締役の長谷川晋氏がTREND EXPO TOKYO 2017に登壇し、モバイルマーケティングの新潮流について語った。

フェイスブックジャパン 代表取締役 長谷川晋氏
フェイスブックジャパン 代表取締役 長谷川晋氏

 Facebookの日本法人が設立されたのは2010年。現在、月間のアクティブユーザー数は、Facebookが2800万人、Instagramは2000万人にもおよぶ。

 長谷川氏は「Facebookが日本企業のベストパートナーになるために、『モバイル×人』ベースのマーケティングによって、どれだけの貢献ができるかに注力している。なぜなら、Facebook利用者の90%以上がモバイルからアクセスしているからです」と語った。

 さらに、Instagramもモバイルから始まったサービスであり、FacebookとInstagramをモバイルと切り離して考えることはできないという。

 長谷川氏がモバイルへのシフトに注力する背景には、ここ数年のトレンドがある。現在全世界で、携帯電話を契約している人数は50億人とも言われている。このような数字や規模を見る限り、モバイルが完全に世界のインフラとして浸透していると言える。

 台数だけではなく、人々の時間の使い方も変化が生じていると長谷川氏は指摘した。

 「かつては人々の時間の多くをテレビが取るようになり、それが長らく続いていたが、今はモバイルに費やす時間が圧倒的に伸びている。近い将来、モバイルがテレビを抜くだろう」と語った。

 また長谷川氏は「人と人とのつながり方が進化し、多様化しています」と話す。数年前にテキスト(メール)から写真(写メール)に変化したコミュニケーションのスタイルが、今は動画が中心。特にモバイル端末による動画の視聴は急激に進んでいる。

 Facebookでも1日80億回の動画が再生され、人々のコミュニケーションにおいて動画が浸透してきている。

 「360度動画のようなコンテンツも日に日に増え続けており、さまざまなバリエーションの動画が登場しています。元来Instagramも写真の共有アプリでしたが、今や動画の投稿や再生が飛躍的に伸びており、24時間で消えるなど、モバイルならではの新しい動画サービスが広がりを見せています」と説明した。

 このような変化に伴い、企業のマーケティング、広告業界のあり方もグローバルに大きく変わってきた。オーストラリアではモバイル単独だけでテレビの広告を抜いた。日本もスマホ人口が5800万人を突破し、20代女性の約8割はスマホで商品を購入している。購買行動もモバイルシフトに変化しているのだそうだ。

 Facebookは本名で登録し、実際の年齢や友人とつながるようなプラットホームであるから、ターゲティング精度が非常に高い。例えば20代、30代の女性をターゲットにした商品なら95%の精度で、その人たちだけにコミュニケーションを取ることができる。これは一般的なターゲット精度と比べても飛躍的に高い数字である。

 「FacebookやInstagramは、さまざまなビジネスのニーズに応え、会社の規模に関係のないモバイルマーケティングができます。そして日本だけでなくグローバルを見越したコミュニケーションをモバイルベースで行えるのです」と長谷川氏は述べた。

 さらに、「日本にいながら世界中のFacebookユーザー20億人に対して直接マーケティングができる、そんな新しい時代になっています」と示唆し、“モバイルファースト”の時代に、マーケティングを成功させるために重要なポイントを3つ挙げた。

 1つ目は「親指を止めるクリエイティブ」。2つ目は「質の高いモバイルリーチ」。そして3つ目は「正確な効果測定」だ。

 長谷川氏は「この3つをサイクルで回して行くことがモバイルマーケティングの成功に非常に重要だ」と語り、講演を締めくくった。

(文/高橋慎哉)

この記事をいいね!する