天才マーケター2人の解決策は全く対照的だった

 2人の鉄人がそれぞれホワイトボードとカメラが設置された別室に入り、企画タイムがスタート。面白いのは、2人がそれぞれ普段一緒に仕事をしているパートナーを連れてきていること。「なぜこのアイデアがあのアイデアに発展するのか」「このアイデアをこうやって具体的な策にもっていったのか」といった思考プロセスが、パートナーとの生の掛け合いで“見える化”されていく。

企画タイムの間、ステージでは2部屋の状況をモニターで確認しながら実況。足立氏のパートナーはビーコンコミュニケーションズの田中大地氏、鹿毛氏のパートナーは電通の青木美菜代氏
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ライブ映像を見ながらコメントしていく富永氏の解説力にも驚かされた
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 企画タイムの両者の動きは対照的だった。足立氏はパートナーと対話しながらコンプの弱点と可能性を理路整然と挙げていき、ホワイトボードにビジュアル化していく。一方、鹿毛氏は食事を抜く人のインサイト(本音)を考えたうえ、ときには歌を交えながら思いついたアイデアをホワイトボードにどんどん展開していく。全くアプローチの異なる両チームのやりとりに観客はどんどん引き込まれていく。あっという間の25分だった。

 その後のプレゼンテーションも、その対照的なアプローチを象徴するものだった。「ご飯withコンプ」と食事を補助するものとしてコンプを位置付け、「シニア」「子供」「給食」などとさまざまな可能性を提案する足立氏に対し、「食事を抜いている人への代替提案」という一点突破を試み、その場で作詞した歌まで披露した鹿毛氏。

足立氏はコンプの弱点を「喜び(満腹感、おいしさ)がない」「ターゲットが激狭」「価格が高い」「時流ではない」と分析したうえで、解決策として「カップ麺やご飯と一緒に食べて栄養を補う」「コーヒークリームにする」「会社の備品として売り込む」「子供の栄養を訴求して給食に参入」といったプランを提案
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鹿毛氏は「食事を抜いている人への代替提案」をターゲットに設定。朝食を抜いている人のインサイト(本音)として「あと10分寝たい」を肯定し、自分の健康を心配する親しい人がコンプを薦める歌をその場で完成させた
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 マーケティングセミナーといえばサクセスストーリーや成功の法則といった内容が多いなか、天才マーケターがその場でアイデアを膨らませていく過程を目の前で見ることができた今回のセミナー。「自分が今まで考えていたマーケティングとは次元が違う」「あそこであの発想は自分にはできないな」「アイデアをこうやって具体的な策にもっていくのか」――。具体的な方法論を超えた、天才マーケターの思考そのものを体感できた貴重なイベントだった。

(文/山下奉仁=日経トレンディネット)