明治、順天堂、専修、日本などの大学から、アテネ・フランセや駿台予備学校まで100近くの学校が集中する都内屈指の学生街、御茶ノ水・神保町エリア。サラリーマンの聖地・神田が隣接するために多くの学生や会社員が集まり、飲食店の数も膨大だ。さまざまな店がしのぎを削るこの街で、60年以上にわたり、彼らの胃袋を満足させてきたのが「キッチンカロリー」だ。

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キッチンカロリー
【住所】東京都千代田区神田小川町3-10 江本ビル1階
【営業時間】11:00~21:00(月~土曜)、11:00~20:00(日曜、祝日)
【定休日】無休(12月31日、1月1~2日は除く)
【TEL】03-3291-3266

とにかくお腹いっぱい食べてほしい

 キッチンカロリーのオープンは1950年。当時はハンバーグやカレーライス、ステーキなどを出す、“よくある”洋食店だった。1964年、初代オーナーが店の看板メニューとして考案したのが「カロリー焼」。そのうまさと、たっぷりなボリューム、それでいてリーズナブルなことから、またたく間に人気メニューとなった。

正式な店名は「レストランカロリー」。かつて改装の際に「キッチンカロリー」から変更したのだが、常連客が古い店名で呼び続けたため、現在では店側もキッチンカロリーと名乗っている
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 カロリー焼は、パエリア用の薄い鉄製のフライパンにスパゲティを敷き、その上にニンニク醤油ダレで炒めた牛バラ肉と玉ねぎを盛り付けたもの。鉄板がたてる“ジュージュー音”、立ち上る湯気とタレの香りが食欲を刺激し、ひと口食べれば、自分は今、まさにカロリーを取っているのだという力強さを感じる。味の決め手となる特製のタレは、醤油ベースでありながら、肉やご飯だけでなくスパゲティとの相性も抜群だ。

カロリー焼(700円)。すべてのメニューに豚汁とライスが付く(日曜、祝日はライスのみ)。ハンバーグやエビフライをトッピングしたメニューなど、さまざまなバリエーションがそろう
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カロリー焼では、本来は付け合わせのはずのスパゲティも大量で、「カロリー焼は和風パスタ料理」という人もいるほど
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 キッチンカロリーで働き続けて28年、現在は店長を務める石野吾郎さんが、半世紀以上にわたって愛され続けるメニューならではのエピソードを語ってくれた。

 「ともに御茶ノ水で学生時代を過ごした会社の上司と部下が、カロリー焼の話題で意気投合して一緒にランチに食べに来たとか、自分の思い出の味を家族にも食べてもらいたいと、夫が妻や子どもを連れて食べに来たとか。歌手の宇崎竜童さんも、明大生の頃によく食べに来ていたそうですよ」(石野氏)

写真のハンバーグステーキ(760円。日曜、祝日は目玉焼きが付いて950円)や、シーフードフライ(920円。日曜、祝日は980円)などの“王道”の洋食メニューもある
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学生アルバイトとしてキッチンカロリーで働き始め、大学卒業後に社員となった店長の石野吾郎氏。最近は大盛りを食べる男子学生が少なくなってきているとか
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