「君の名は。」に代表されるライトなファン層の台頭

 プロダクション・アイジーでタテアニメのプロジェクトを主導する企画室室長の中塚進一氏が、タテアニメを企画した理由としてまず挙げたのが「アニメを見る環境の変化」だ。そもそもの話、かつてはテレビなどを見ていた時間が、今はスマホに奪われている。アニメを見る環境も、かつてはテレビ中心だったが、動画配信サービスを利用してパソコンやスマホで見る人が増えてきた。そんな中、「例えば、ゲーム業界は、早くからスマホゲームに進出し、新たなビジネスモデルを作っている。アイジーとして何ができるのかと考えたとき、得意のアニメでスマホのビジネスにチャレンジしようと考えた」と中塚氏は話す。

 もう一つの理由が、従来の熱狂的なアニメファンとは異なるライトなファン層の増加だ。昨年は、『君の名は。』をはじめとした劇場アニメの大ヒット作が多く生まれた。それらの作品の共通点が、アニメファン以外の一般の観客が多く劇場を訪れたことだと言われている。タテアニメが狙うのは、そういったライトな層だ。

プロダクション・アイジーでタテアニメのプロジェクトを担当する企画室プロジェクト企画グループの大久保圭氏、企画室室長の中塚進一氏、企画室プロジェクト企画グループの大塚裕司氏(左から)
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 「作画が崩れていないとか、ストーリーがきっちりあるとかにこだわるアニメファンの人たちには、これからもテレビや劇場で見てもらえればいい。タテアニメは、むしろアニメにはあまり触れたことがないけれど、漫画が好きとか、お笑いが好きとか、YouTubeは見慣れているとかいう人たちに見てもらいたい」(中塚氏)。

 それには、「制作側でひと手間かけても、ユーザーに優しいサービスにしたかった」(中塚氏)。横型でアニメを作ってきた制作サイドからすれば、絵コンテの描き方、レイアウト、作画まであらゆる手法が従来と異なってくる。それでも、「スマホの画面を傾ける」というユーザーの負荷を取り除き、手軽に見られることを優先したという。

 アニメ1本の長さを3分程度にしているのも手軽さを重視するためだ。「スマホ向けゲームが流行ったのは、空いた時間にちょっとやりたくなる、やり始めてもすぐに終われるという手軽さだと思う。アニメもスマホで見るなら、3分くらいがちょうどいいのではないか」と中塚氏は話す。

縦型のアニメは従来の横型とレイアウトや構図が異なる。人物を1人見せる場合は迫力のある絵になる半面、複数人がズラリと並ぶシーンは工夫が必要になる。画像はギャグ漫画『残念女幹部ブラックジェネラルさん』のタテアニメ (C)jin/KADOKAWA/タテアニメ
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