本連載は、「この人の『勘』や『感』の見方を知りたい!」と思った方にお会いし、仕事に「勘」や「感」は必要なのか。そして、どのように磨けばいいのかについて、成功談も失敗談も含めて聞いていくものです。それも、難しい書き言葉ではなく、わかりやすい話し言葉で。読者の皆さんにとって、未来に向けたヒントになれば幸いです。

 今回はバルミューダの社長を務める寺尾玄さんに登場いただきました。同社は“21世紀の扇風機”をうたってヒットした「GreenFan」をはじめ、「BALMUDA The Toaster」「BALMUDA The Gohan」と、ユニークな商品を次々と生み出してきた企業。寺尾さんとは何度かお会いしていて、ぶっ飛んだ発想とほとばしる情熱の持ち主だと感じてきました。そのエネルギーはどこから湧いてくるのか、「勘」と「感」をどう働かせているか、あれこれ聞いてみました。

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社内会議は「試合」

川島: 最初からズバリ、「勘」や「感」って、寺尾さんそのものと思っているんですが。

寺尾:  その通りで、私は「勘」と「感」と「ラッキー」でできているようなものです(笑)。

川島: そういう人は、何もしなくてもアイデアが湧いてくるのかなと思ったりします。

寺尾:  いや、意識的にやらないとダメです。私がやっているのは、緊張とリラックスを繰り返すことです。

川島: 緊張とリラックスを繰り返すって、具体的にどうするんですか?

寺尾:  たとえば、社内会議では「言葉は短く、声は大きく、結論から言うこと。しかも全員、キラーパスを出さなければならない」と決めているのです。つまりは試合! もちろん私も、超気合を入れ、全身、緊張感の塊みたいになって臨むんです。リーダー自らが試合態勢で臨まないといけないと考えているので。

川島: 聞いているだけで背筋が伸びそうで、ちょっと怖いなぁ(笑)。

寺尾:  人間って私も含めて「“楽”したい」という気持ちがどこかにあるじゃないですか。だからたいていは“楽な会議”になってしまう。でもそれ、実は“楽”じゃなくて、つまらなくて長くなってしまうだけなのです。

川島: たしかに報告会みたいな会議が延々続くのって、めちゃくちゃ疲れます。

寺尾:  だから、うちの会議は「試合」です。ビンビンに緊張した状態でスタートして、でも5分くらいたつと、私はあえて席を立つんです。タバコを吸いに行ったり、社内を少しブラブラしたりして、自分自身をリラックスさせる。そういうときに、答えがぽんと出てきたりするのです。それで会議に戻り、再び緊張モードになって、参加メンバーと話すようにしています。

川島: 会議を出たり入ったりする社長ってあまり聞いたことないです(笑)。参加メンバーにとっては、社長がいることによる“緊張モード”、突然いなくなる“リラックスモード”が繰り返されるわけですね。そして、寺尾さんは“リラックスモード”のときにアイデアが湧いてくる。なるほどと思います。

バルミューダの寺尾玄社長
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