現地の家庭に滞在しながら、住まうように旅し、人びとの生活や文化を体験する、定住旅行を行なっている私は、この夏ジョージアを訪問した。ジョージアと聞くと、ついつい米国のジョージア州やコーヒーのイメージが先行してしまいがちだが、“グルジア”と言うと、ピンとくる人もいるのではないだろうか。日本では2015年にグルジアからジョージアという名称に変更され、現在ではジョージアと呼ばれているが、”サカルトベロ”(ジョージア人の土地)というのが現地の言葉での正式名である。日本で有名なジョージア人というと、黒海、栃ノ心、バレリーナのニーナ・アナニアシビリ、スターリンなどではないだろうか。

人口以上の観光客が押し寄せる、観光大国ジョージア

 日本人にはあまりなじみのない国の一つだが、実は知られざる観光大国である。国土は北海道より少し小さいが、多様な気候や地形を楽しめることから、ヨーロッパやロシアから多くの観光客が来ており、1年で訪れる観光客の数はジョージアの人口370万人を超えるほど。私が滞在しているときには、多くのヨーロッパ人、またそれ以上のインド人観光客に出会った。治安についてはこれまで40カ国以上訪れた中で、一番良いと断言できるほど、旅人に優しい国である。

 ヨーロッパとアジアの狭間にあるジョージアは、アジアと欧州をつなぐシルクロードの交差地点として交通の要所であり、現在でも、欧州と中央アジアを最短距離でつなぐルートである。首都のトビリシには、ジョージアとEUの国旗が高々と掲げられており、地理的にはアジアに位置しているが、自国をヨーロッパの一部と意識し、ロシアとの別離を主張しているようでもある。

首都のトビリシの街並み
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 ジョージアは長寿国という側面も持っている。それを助けている3大食品が、国内に2400カ所の源泉が点在し、約700種類以上もあるミネラルウオーター、マッツォーニと呼ばれるヨーグルト、そしてワインである。肥沃な土壌や温暖な気候では、野菜や果物などが豊富に採れ、栄養豊富なオーガニックの食材を得ることができる。その一方で、ジョージアは50年以上平和が続いたことがない地域でもある。人びとの平和な暮らしぶりからは想像できないが、記憶に新しいのは2008年の南オセチア紛争だ。紛争が絶えない大きな理由の一つは、他国が手に入れたい、このジョージアが持つ豊かな土地にあるのだろう。