世界各地で現地の生活を体験しその様子を配信している、モデル・定住旅行家ERIKO。今回お届けする国は、中東イラン。日本では中東というと、政治的にも宗教的にも複雑で混沌としたイメージを抱きがちな地域である。もともと“中東”という言葉は、20世紀初めごろに生まれた国際政治用語で、東洋と西洋に挟まれたこの地域はイスラームの創設の歴史のくくりに入っていると言ってもよい。イランはその昔、ペルシャ帝国という大国を築いた。イスラム革命が起こり、イランがイスラム化する以前は、独自の文化や習慣を持っていた、とりわけ異色の国でもある。

 今回私は人生で初めてイラン、そして中東地域へ足を運んだ。イランの国土は、日本の約4倍。カスピ海に面した北部は湿った気候で、お米の栽培などが盛んに行われており、中部の砂漠地帯ではナツメヤシが採れることでも有名だ。その他、スパイス、バラ、ナッツなど国内で採れる食材は非常に豊富である。毎回、現地の家庭に滞在している私だが、イランの食事はどれも美味で、苦手だと感じるものはほとんどなかった。現地では、どのような食材が消費され、常備されているのか、彼らの食文化から覗いてみよう。

イラン人が1年で一番買い物をするお正月にバカ売れする物

 まずは、イラン人が日常買い物をする場所から。商品を購入する場所は、八百屋やフルーツショップなどの小売店から、大型スーパーまでさまざまである。私が滞在したのは、ちょうどイランのお正月“ノールーズ”(日本の春分の日に当たる3月21日)に当たる時期で、お正月の準備のための買い物をする人たちでどのお店も連日混み合っていた。この時期はイラン人が1年で一番お金を使うときである。

 ノールーズは、イランがイスラム化する以前のペルシャの祭りであり、イスラームの太陰暦ではなく、太陽暦に基づいて行われる。ノールーズのように、イラン革命が起こる前のササーン朝時代に国教としていたゾロアスター教に基づく祝日やイベントは、今でも年に数回行われている。お正月休みは約2週間あり、多くの人が実家へ帰省したり、北部や南部のリゾート地や海外で過ごす。

 イランの人々は年末になると、家の中やガレージを大掃除し、家具や家電を新調したり、絨毯(じゅうたん)をクリーニングに出す。そして、ペルシャ語のSが頭につく7つのもの“りんご、ニンニク、ヒヤシンス、コイン”などを家や会社に飾る習慣がある。また縁起物とされる鏡、ろうそく、卵、金 、生きた金魚なども一緒にお供えする。そのため、お正月前になるとありとあらゆるお店や路店でそれらの商品が陳列され、人びとが購入する。

 イランには日本と同様に“エイディ”と呼ばれるお年玉を渡す習慣があり、この時期は新札を手に入れる人も増える。私も年が明けた3月21日午後7時45分28秒に、家族からお年玉をもらって、なんだか子どもに戻った気分になった。ちなみに今回のお正月でもらったエイディの総額は3万リアルで、日本円にすると約780円になった。子どもによっては、1万円以上になる子もいる。

ペルシャ語のSの頭文字で始まるお正月のお供え物
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