技術賞の受賞作品、一つ目は「製造現場のカイゼン支援ツール『マルチストップウォッチ』」です(図1)。セル生産方式の製造現場で、作業員一人ひとりのサイクルタイムを計測するのに利用します。勤務先の現場に導入するために開発しました。

図1 技術賞を受賞した「製造現場のカイゼン支援ツール『マルチストップウォッチ』」
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 作業員は、1個の製品を完成させたタイミングで、手元に置かれた工場用の無線スイッチ送信機のボタンを押します。無線スイッチ送信機は、ボタンが押されたという情報を、無線伝送技術を使って無線スイッチ受信機に送信します。無線スイッチ受信機は最大4チャネルを利用して通信できるため、最大で4人分の作業時間を同時に測定できます。

 無線スイッチ受信機は、ラズパイ「Raspberry Pi 2」に接続してあります。無線スイッチ受信機が受け取った情報はラズパイに送られ、前回送られてきた情報を参照して作業時間を割り出します。ラズパイは、割り出した作業時間を作業員ごとに液晶ディスプレイに出力します。同時に、割り出した作業時間と受け取った情報を保存します。

 このほかラズパイには、作業の遅れを知らせる回転灯と電子音警報器、ラズパイへの電源供給を自動停止する電源制御ユニットを接続しています(図2)。

図2 電源制御ユニット
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24Vの産業用機器をつなぐ

 無線スイッチなど産業用機器の電圧レベルは24Vのため、そのままでは3.3V系のラズパイを接続できません。通常なら「PLC」(Programmable Logic Controllers)と呼ぶ産業用機器に対応した制御装置を使うのが一般的です。今回は入出力信号インタフェースを独自開発し、PLCをラズパイに置き換えています。

 産業用機器からラズパイへの信号入力ではフォトカプラー(図3)を、ラズパイから産業用機器への信号出力ではトランジスタアレイ(図4)を使い、信号レベルの変換と絶縁を実現しています。さらに、リレー接点を使った出力も実装し、100Vの機器とも接続できるようにしました。

図3 入力信号インタフェース
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図4 出力信号インタフェース
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 ラズパイのOSは、一般的なRaspbianではなくWindows 10 IoT Coreを採用しています。これは、開発環境の「Visual Studio」を利用したかったためです。

 今回のツールでは、計測した作業時間の表示やメッセージの表示、操作画面の表示など、液晶ディスプレイへの画面表示を多用しています。Visual Studioのフォームデザイナーを活用することで、これら画面出力を伴ったアプリを楽に開発できるようにしました。

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