人生に迷えるライター・大木亜希子が「世の中に潜むちょっと変わった人」をインタビューし、彼らのマインドを掘り下げていくこのコラム。三十路をひかえ、結婚はおろか今後のキャリアの方向性すら定まらず、やや焦り始めた筆者。人生の先輩たちへの取材を通し、輝く未来を手に入れるためのヒントを得ようともくろむ。経験豊かで前向きに“珍人生”を謳歌する、幸せな「B面人生」を手に入れた先駆者たちの素顔とは?

 「事実は映画より奇なり」。もし、そんな言葉が存在していたら、それはこの人のためにあるのかもしれない。後藤博茂さん(46歳)。千葉市にある自動車整備工場「後藤モータース」の3代目社長。妻と2人の子供を家族に持つ、一見どこにでもいそうな“オッサン”である。

今回の主人公、43歳で映画監督になった後藤博茂さん
[画像のクリックで拡大表示]

 そんな彼が、同世代の男性と唯一違う点。それは日常の生活を営む表の顔、すなわち“A面人生”では自動車整備工場に勤務し、もう一つの裏の顔、つまり“B面人生”で「映画監督」という肩書を持つ点だろう。

 後藤さんが監督した映画『よろずや探偵談』(2017年)という作品がある。くたびれた40歳の便利屋の男が探偵事務所を開設し、助手と一緒になって多くの依頼をこなしていく……というストーリー。最終的に主人公と助手は黒い陰謀に巻き込まれていくが、サスペンスあり、CGあり、エロスありと、非常に遊び心にあふれた作品になっている。

映画『よろずや探偵談』ポスター

 本作は2017年6月、東京・ザムザ阿佐谷で公開後、同年7月には「カナザワ映画祭2017」で上映。さらに、東京・渋谷「アップリンク」や「ユナイテッド・シネマ豊洲」で開催された映画祭でも複数回上映されている。

劇中より主演を務める三浦知之が出演するシーン

 主演には舞台で活躍するプロの役者を起用した。また、脇を固めるキャスト陣として若者に人気の「セーラー服おじさん」や、『ゼブラーマン-ゼブラシティの逆襲-』(2010年)をはじめ多くの話題作に出演する名バイプレーヤーのマメ山田さんも出演。こうした顔ぶれの多彩さも本作の見どころと言える。

劇中より「セーラー服おじさん」こと小林秀章さん
劇中よりマメ山田さんが出演するシーン