当記事はnikkei BPnetに連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2008年4月10日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

 前回は、プロのしゃべり手が生放送で「時間」を意識して話すことで、いかに話の伝導率を高めているかについて述べた。時間に対する意識が、ビジネスパーソンにとっても仕事上いかに有効であるかをこまごまと説明したつもりだ。そのため、ストップウォッチの購入まで勧めてしまったほどである。実践した方は、その効果に驚かれたことと思う。

 今回は、プロのしゃべり手たちが「収録(録画)番組」で意識を働かせている「編集点を探る技法」をお伝えしよう。編集点とは、編集段階でカットするか、残すかが分かれるポイント。これも、日常業務に大いに役立つはずだ。

 報道、情報系を除けば、テレビでは「収録(録画)モノ」が一般的である。1時間番組といっても、CMを除けば正味50分もないのに、たいてい90分は撮る。中には3~4時間、カメラを回すケースもある。当然「おいしいところ」だけを残し、あとは編集で大幅にカットしていく。

切られないようにどうしゃべる?(写真:gnepphoto/PIXTA)

 「収録ではあんなにしゃべっていたのに、自分の出番、ほとんどカットされている!」こんなふうにぼやいているようでは、プロとしてはまだまだ。

 多くの出演者は「ここは使う。ここは落とす」と編集される過程を予想しながら番組に臨んでいる。夢中でしゃべりながらも、その一方で冷静に制作者の意図をくみ取る作業を行っているのだ。例えばこんな感じだ。

 「お、ここは使える流れになっきたぞ! 客(スタジオ観覧者)の笑いが大きくなってきた。このあたりが編集点か。よーし、フォワードとして決めのセリフ突っ込もうか? いや待て。シュートは今日乗ってるあいつに打たせよう。俺はボランチとして、ネタの回しに徹したほうが切られない(カットされない)。俺がぼけた! あいつが拾った。つなげたところに、さすが、突っ込んでドスンと落とした! 爆笑!! OK。編集点1つクリア!!」

 バラエティー番組は、いつも、同じようなメンバーがへらへらしててくだらない。そんなふうに思う向きも少なくないかもしれないが、売れている連中は、場面の流れを的確につかみ、「編集点」すなわち編集で落とされない「山場」を作り上げるため暗黙のうちにチームワークを発揮している。各人が役割をきちんと果たし、互いの良いパフォーマンスを番組に残すべく、目を凝らし、耳を澄ましている。バラエティーは団体競技と思えばいい。