SNSでの拡散でアクセス数が17倍

 利用者に驚きを与えることは、SNSを通じた情報のシェアの促進につながり、さらなる売り上げ増加にも結びつく。例えば、1997年に発売されたバスケットシューズの「フォームポジット ワン」の復刻版の発売に合わせて実施した企画は、SNSを通じた情報の波及が想像を超える成果につながった。

 同モデルは発売当時、バスケットボール選手のアンファニー・ハーダウェイ氏が着用して試合に臨もうとしたものの、青を基調としたデザインがユニフォームの規定に反していたため、一部を黒く塗り潰して着用したという逸話がある。このストーリーに目を付け、スマホのタッチパネルを使い、商品写真を指で触ってハーダウェイ氏のように黒く塗り潰すことで購入ページに遷移できる企画をSNKRSで実施した。ただし事前の予告は一切なしだ。偶然、その企画に気付いた人だけが購入できた。

 企画の開始後、8分後に1人目の購入者が現れた。すると発見者がすぐさまSNSに投稿。瞬く間に情報が広がり、最終的に8万5000人がページを訪れた。「想定では5000人程度だった」(ファリス氏)という。17倍の訪問者につながったわけだ。

 ファリス氏はSNKRSをただのECではなく、「スニーカーファンのコミュニティー」と称する。「スニーカーのファンの中心には、影響力を持つインフルエンサーがいる。彼らを通じてほかの消費者に情報を伝播することで、コミュニティーが形成されていく。SNKRSを通じてインフルエンサーがシェアしたくなるストーリーを提供することで、コミュニティーはさらに大きくなる」とファリス氏は言う。そうした体験がブランドとの関係性を強固なものとし、結果的に購入につながる。

 国内でもこうしたコミュニティーの強化を狙う。6月以降にSNKRS Stashなどの機能を活用した企画を実施していく計画だ。

(文/中村勇介=日経クロストレンド)