熱狂を生み出す3つのポイント

ナイキは3月から国内でもアプリ版「SNKRS」の提供を始めた

 SNKRSは一部の限られた店舗でしか販売しないスニーカーの限定品だけを取り扱うナイキのEC事業の1つ。ECサイトとアプリの両方で利用できる。日本では2018年3月からアプリ版の提供も始めた。冒頭で紹介したARを活用した企画は特例で、基本的には一覧から商品を選んで購入する一般的なECサイトとして利用できる。

 ただし、限定品を中心に取り扱うため発売と同時に完売してしまうことも少なくない。目当ての商品を購入するには、事前に商品の販売スケジュールを把握しなければならない。発売日の前日に予告されることも少なくないため、ナイキのファンは常にSNKRSの更新情報を気にかけている。国内では発売日の午前9時に販売を開始することが多い。利用者はそれを理解しているため、販売直前から待ち構えており、発売と同時に争奪戦が始まる。

 さらなる限定品の場合には、ナイキ側で発売に合わせた企画を実施して特別感を演出する。「若年層は興味がすぐに移り変わる。6秒しか集中力が持たないともいわれる。なんでも手に入る。いつでも買える。そんな時代だからこそ、瞬間的な驚きを与え続けなければすぐに離れてしまう」(ファリス氏)からだ。

 利用者に驚きを与えるためにナイキは新たな機能を開発し続けている。冒頭のワシントン・スクエア・パークで実施したARの企画もその1つ。「SNKRS Stash」と呼ばれる機能で実現した。これはARとGPS(全地球測位システム)を組み合わせて、リアルの世界でスニーカーを探して購入できる企画を実現するもの。ニューヨークを拠点にするレストラン「Momofuku」とコラボーレーションしたスニーカーは、レストランのメニューをアプリのカメラ機能で見るとARで画面上にスニーカーが登場して購入できた。

アプリ上のAR機能でスニーカーを見つけると購入権を得られる

 ただし、こうした企画に参加するには実際の場所に行く必要があり、地方在住者などは参加できない点が課題だった。そこで、ナイキは地方在住者も参加者と一緒に楽しめる機能を開発している。「SNKRS Stash Squad」と呼ばれる機能で、企画の実施中に参加者をアプリ上で探して、その参加者のフォロワーになる。フォローした参加者が商品の購入権を得たら、フォロワーにも購入権が付与される。今後はこの新しい機能を活用した企画も実施する。