サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会が目前に迫ってきた。日本代表チームはすでに日本を離れ、事前合宿地であるオーストリアにて調整に入っている。4年に1度のサッカーの祭典は、ボール、ユニホーム、シューズの技術的進歩を促す役割も果たしてきた。今回はアディダスに最新のサッカーシューズの進化について聞いた。

 「サッカーシューズのマテリアル(素材)は、劇的に進化しています」――。そうアディダス ジャパンのアディダスマーケティング事業本部 Football ビジネスユニット マーチャンダイジングの山口智久シニアマネージャーが語るように、科学の進歩で新たに開発された新素材によって、最先端のサッカーシューズは40代、50代のかつてのサッカー少年が使っていた“スパイク”とは、全く異なる印象をわれわれに与えている。

アディダス ジャパンのアディダスマーケティング事業本部 Football ビジネスユニット マーチャンダイジングの山口智久シニアマネージャー
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もう「靴ひも」はいらない?

 1つめの進化は「アッパー(足を包むパーツ)」の素材だ。かつては天然の革が主流だったが、水を吸って重くなったり、履きこむほどに伸びて、形崩れしたりするものが多かった。しかし、合成皮革の技術進化によって、天然のレザーに迫るしなやかさや柔らかさを出せるようになり、耐久性も増した。

 しかしここ数年、サッカーシューズのアッパーはさらに大きな変化を見せている。「最近は、ニット素材の生地をシューズのすべてのベース部分に使っています」(山口氏)というのだ。

最新モデル「X 18+ FG/AG」のアッパー。光が透けるほどのニット素材の採用で驚く軽さに
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アディダスのサッカーシューズでは、アッパー部分のベース素材はニットがトレンドに
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 最新のニット素材には、通気性の良さはもちろん革以上に耐久性が強く、形状も維持しやすく、丈夫で長持ちなどさまざまなメリットがあるという。

 「唯一、レザーに勝てないデメリットと考えられていた『足なじみ』の部分でも、技術の進化でレザーに匹敵するか、レザー以上ではないかと考えられるものも生まれています」(山口氏)

 それだけではない。「靴ひも」がないモデルも登場している。

X 18+ FG/AGには靴ひもがないタイプも
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 確かに、ひもがなければ足の甲でボールを蹴る際に違和感がなくなり、よりダイレクトにボールにタッチする感触を得ることができるだろう。しかし、ひもで締めないと、脱げやすくなりはしないか。

 「隙間がたくさんできると脱げやすいのである程度絞ったかたちにして、繊維の伸縮によって履いた後に足にフィットする構造になっています」(山口氏)。これらの進化により、最新のシューズの見た目は天然の革や合成皮革を使っていたころのシューズとは、大きく異なるものになった。

 進化したのはアッパー部分だけではない。シューズを構成するもう1つのパーツである「アウトソール(靴底)」も、マテリアルの技術開発の進歩により大きな進化を遂げている。