勝手にカスタマイズされるのが理想形

 ここまで3回にわたって、アディダスが提供するW杯ロシア大会の公式試合球、日本代表ユニホーム、そして今大会で数々の選手の着用が予定されているシューズを通して、サッカーアイテムの進化について検証してきた。これらの技術の進歩が目指す共通のテーマは「選手のパフォーマンスを最大限に引き出すこと」。そこで今後、ユニホームとシューズには、いかなる“進化”が求められていくのか山口氏に尋ねてみた。

 「個人的な考えですが、ウエアもシューズも共通していて、その時々の自分の体の状態、足の状態にぴったり合う形になって、勝手にカスタマイズされるウエアとシューズが理想です。体温が上がってきたら熱を発して涼しくなり、寒いときには熱をためこんで保温する。その気候に合わせてオートマチックに調整できるユニホーム。朝イチと夕方の足はむくみ具合が違うけれど、その時々の微妙な状態にちゃんとフィットするシューズがベストかなと思っています」(山口氏)

「シューズも選手の魅力を見た目のインパクトでも伝わるようになっている」と山口氏。W杯ロシア大会ではその辺りも注目したい
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 では、サッカーファンには今大会でボールやユニホーム、シューズのどのような点に注目してほしいのだろうか。

 「ボールのデザインは過去のインスピレーションを受けながらも、現代のきめ細かさが反映されています。ウエアのデザイン1つとっても、いろんな国のアイデンティティーが表れている。シューズもより自己表現がしやすくなっています。性能で選手のパフォーマンスを高めながら、選手の魅力が見た目のインパクトでも伝わるようになっているので、パフォーマンスとデザインの両方を楽しめるワールドカップになると思います」(山口氏)

 今大会は、ボール、ユニホーム、シューズの科学的な知識も生かしながら、世界トップレベルの選手たちの素晴らしいパフォーマンスを心ゆくまで楽しみたい。

佐保 圭(さほ けい)
佐保 圭(さほ けい)科学ライター、ビジネスライター。『大人の科学マガジン』などでサイエンス関連の記事を執筆。『日経トレンディネット』などでは、食品、家電、金融からAIに至るまで、分野を問わず、科学や技術を切り口としたビジネス記事で活躍。人物レポートも得意とし、著書に『どがんね 古賀常次郎詳伝』(日経BPコンサルティング)、「佐宮圭」名義で第17回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作『さわり』(小学館)がある。