かつてのシューズに比べ75%の軽量化

 「アウトソールとしては、2010年の進化が大きかった」と山口氏はふり返る。かつて、シューズのアウトソールには屈曲性が高く、柔らかく、磨耗に強いウレタン素材のプレートが一般的に使われていた。しかし「2010年のW杯に合わせてアディダスがリリースしたエネルギーロスやストレスをゼロにする『アディゼロ F50』で、史上最軽量のシューズに挑戦したとき、アウトソールがナイロン製のプレートに替わりました」(山口氏)。

 それまでのナイロンのアウトソールは、軽いけれども硬すぎて割れてしまう、足に対して衝撃やストレスがかかりやすいなどのデメリットのほうが強かった。それを技術革新で柔らかく調整できるようになり、さらに硬くても壊れない耐久性も備わった。「そのナイロンがアウトソールのベースに使われるようになり、圧倒的に軽くなった。昔は400グラムを超えていたシューズの重さが、今は100グラム以内になりました。一番重かったころと比べると、3分の1、4分の1の世界です」と山口氏は話す。

 アウトソールの進歩は「軽量化」だけではない。サッカー選手には、走る、止まる、方向転換してボールを蹴るために踏ん張るなど、さまざまな動きが要求される。その複雑な動きの中で高いパフォーマンスを発揮するには、土をかみ、力を大地に伝える靴底の「ポイント」が重要になってくる。

 「昔は丸ポイントか、刃型(長方形の細長いブレード)の2種類くらいでした。そこから、丸と刃型を融合した三角型や、V字型、ダイヤモンド型、半月型など、さまざまな形に広がってきました」(山口氏)

複雑な形のポイントが配置されたX 18+ FG/AGのアウトソール。この形には大きな意味がある
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 最新シューズのポイントの特徴は、どんなサッカー選手にとっても最良となるものではなく、選手の持つ強みに合わせることを追求している点だ。

 「選手のパフォーマンスを最大限に引き出そうと考えたとき、俊足の選手ならどれだけ速く走れるかが大事になります。一方で、ボールの扱いがうまく、コントロール性を大切にする選手もいます。そこでアディダスのシューズは、個々の選手の特徴に合わせて4つのタイプに種類分けしています」(山口氏)

 では、どのようなタイプの選手に対して、どんな性能や特徴をもたせたシューズになっているのか。W杯出場国代表のアディダス契約選手が着用を予定している「ENERGY MODE PACK」でチェックしてみよう。