体重が増えたからといって一喜一憂するなかれ。自分の体の「筋肉と脂肪の比率」と「脂肪の付いている場所」こそが、健康に過ごせるか、恐ろしい病魔に見舞われるリスクを高めるかの重要な指標だった。その指標を“見える化”してくれる心強いアイテム「体脂肪計・体組成計」は、いったいどこまで進化しているのか。3回にわたってその最新動向を探るシリーズも今回が最終回。タニタの体組成計の進化は、内臓脂肪のレベルの計測から、“筋肉の質”の判定にまで及んでいく。

 1994年、タニタは世界初となる「乗るだけで体脂肪率が計測できる体脂肪計」を発売した(前回「体組成計、乗るだけで体脂肪率が測れると何がいいのか」を参照)。しかし、一般的な体重計が3000円から4000円という時代、いくら体脂肪率が測れるからといって10倍以上の4万5000円という価格がネックとなって、売り上げは振るわなかった。

 そこで翌年、タニタは初回モデルの半額以下となる2万円で「体脂肪計付きヘルスメーター」を発売し、これが大ヒット。その結果、健康のバロメーターとして体脂肪率を知ることの大切さが、世間に広く認知されていくことになる。

 一方、家庭で手軽に体脂肪率を測る時代の幕を開けたタニタの研究者たちには、感慨にふける暇などなかった。すぐさま次なるミッションが与えられたからだ。それは「内臓脂肪も測れる体脂肪計」の開発だった。

メタボの元凶「内臓脂肪」を計測せよ

 「それはちょうど『メタボリックシンドローム』の研究が始まった頃でした」とタニタ企画開発部主任研究員の西澤美幸さんは回想する。

タニタ企画開発部の西澤美幸主任研究員
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 「同じ体脂肪率でも、特に腹部に脂肪がついている人のほうが血中脂質や血圧が高くなったり、血糖値が高かったりという研究結果が出され、内臓脂肪のほうが健康の指標として重要となってきたので、いきなりそちらの研究にシフトすることになりました」(西澤さん)

 ただ、この連載記事の第1回「脂肪を燃やせ! その前に『肥満』を正しく判定する」で神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 糖尿病・内分泌・総合内科学分野 糖尿病・内分泌内科学部門の小川渉教授が解説してくれたように、内臓脂肪を正しく計測するためには腹部をコンピューター断層撮影装置(CT)で撮影して、その断面写真の内臓脂肪の面積から判定しなければならない。西澤さんたちはどうやって、体脂肪計に“乗る”だけで内臓脂肪量のレベルを計測しようとしたのか。

 その方法も体脂肪率のときと同じく「重回帰分析」だった。

 かつて、体脂肪率の重回帰分析では「水中体重秤量法」で計測された被験者の体脂肪率のデータが利用された。内臓脂肪率の重回帰分析では、日米合わせて約760人の被験者の内臓脂肪のCT画像のデータと照合された。