日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2009年6月18日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

航空機メーカーとして誕生したサーブ

サーブ96スポートのスタイルは、どこか小型飛行機にも似たまろやかさに包まれている。ラリーでも活躍した精悍さも感じられるフロント
[画像のクリックで拡大表示]

 北欧スウェーデンは、ボルボ、サーブというふたつの自動車メーカーがそれぞれに個性を発揮していて、興味深い国であった。いや、今でもその二つのブランドは健在だから過去形にするべきものではないのかもしれないが、よくできた現代のモデルよりも、ひと昔前のモデルにより強い個性と志とが見て取れたりする。

 そもそもサーブというメーカーは、Svevsca Aeroplan A B の頭文字がサーブの由来であるということを述べるまでもなく、航空機と強い関係が感じられる。戦前1937年に政府の指導のもとに航空機メーカーとして誕生したサーブは、折しも戦闘機をはじめとする「特需」にも恵まれ一気にその名を広めた。中立国をうたうスウェーデンは、ドイツ軍にも連合軍にも供給した、という。

 戦後、サーブが目指すのは国民車の生産というところに落ち着くのだが、作り出されたクルマはいかにも航空機エンジニアたちのアイデアでまとめられた、というようなものであった。最初のサーブ92は、1949年に量産が開始された。表題のサーブ96はそのサーブ92からサーブ93を経て1960年にデビューしたモデル。まだ、サーブの原型を残したモデル、といえるものだ。それは、丸っこいスタイリングだけでなく、ボディ内外で発見できる。